親孝行大賞受賞作品★こころぽかぽか賞★『同じ話』

【ペンネーム】ひめことにここさん
【性別】女性
【年齢】50代
【住所】広島県広島市

【「親孝行大賞」のタイトル】
「同じ話」

【「親孝行大賞」の本文】
月に1回程度、車で高速道路を3時間くらい運転して実家に行く。

子供たちが小さい頃は一緒に帰省していたけれど、今は私一人だ。受診の付き添い、隣人のお見舞い、送られてきた書類に目を通し両親に説明するなど、私が帰省するのに合わせて処理しなければならない用事は多い。夜は母の手料理や地元でとれた刺身をつまみながら、両親と晩酌をする。

過疎化の進む町で、年老いた両親が話すことと言えば、誰それが入院したとか、懇意にしていた人が亡くなり葬式に行かないといけないとか、あそこのおじさんが癌で闘病中だとか、病気や死に関することが多い。

しかも、同じ話を何度もするので、私はつい「さっき話してたじゃない。もう聞いたよ」とか、あまりにもしつこく同じ話をするのでイライラすることもある。「何回同じ話をするん?」とキツイ口調で言うこともあった。

そんなやり取りをしていた、ある日、母の話し方が変わった。
「もう話したかもしれんけど」とか「何べんも同じことを言うかもしれんけど」と前置きをしてから話し出す。先日、母と話していたら「来てくれるのを楽しみにしている。来たらあれも聞いてもらおう、これも聞いてもらおうと思っているから、同じことを話すのかもしれん」と寂しそうに言った。

初めて知った。そんなに私が帰ってくるのを楽しみにしてくれていたのか。申し訳ないことを言ってしまったと反省した。それからは、母が同じ話を繰り返して「へぇ~そうなの」と初めて聞くように返事をしている。

「何度話しても大丈夫よ。何度でも聞くから」と母に優しく伝えた。

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