親孝行にまつわるいい話『俺が育てられたように、俺の子も普通に育てるよ』

ペンネーム:薩摩太郎(東京都葛飾区)

息子に子供が誕生し、妻とお祝いに駆けつけた。祝杯を重ねるうち息子が幼い頃の話になった。顔を赤くした息子もいつになく饒舌だった。
子供の頃の息子は、可もなく不可もない平凡な子だった。幼稚園の運動会の徒競走では、両隣の子が走り出したのを見届けてから走るような子で、親父としては、(こんなノンビリ屋で厳しい社会を生きていけるのか?)と、不安に感じたものだった。そんな思い出話が弾み、
「お前は平凡だったけど、子供は天才に育つといいなぁ」
と冗談を飛ばすと、
息子は、
「いや、それはないよ」
と前置きし、
「俺が育てられたように、俺の子も普通に育てるよ」
と言った。
息子が中学生の頃だった。出勤する朝のホームに立っていると、ある婦人が、
「いつも子供がお世話になっています」
と声をかけてきた。
何のことかピンとこずにいると、息子は毎日、持病持ちで体力のない子息の送り迎えをしているのだという。あの無口で大人しい息子が…。以来、格別な才能がなくてもいい、目立たなくてもいい、平凡でも健康に育ってくれればいい。そう思って育てた。
時には感情の行き違いから、息子とは冷えた関係になったこともあったが、サラリと言った一言に、思いは通じていたのだと、胸が熱くなった。

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