親孝行大賞受賞作品★ハッピー賞★『風になびく柳の誤り』

【ペンネーム(掲載時のお名前)】シケバンさん
【性別】男性
【年齢】19
【住所】東京都 目黒区

【「親孝行大賞」のタイトル】
「風になびく柳の誤り」

【「親孝行大賞」の本文】
私は今年で20歳になる。そしてついこの間、生まれて初めて親孝行をした。

私が手のつけようのない不良であったかのように思われるかもしれないが、そうではない。むしろその逆である。習い事、友達づきあい、大学…全て両親の言うことに従ってきた、いわゆる「良い子ちゃん」であった。それが親孝行だと思ってきたのだ。

実際、私が両親の言った通りのことをすると、彼らは満足そうな顔をして私を褒めてくれた。しかし、彼らはその後決まって少し寂しそうな顔をしたのだ。それが何故かわからないまま20になる年を迎えた。そして思いもしない形で、初めての親孝行を迎えた。

きっかけはつまらないことであった。大学の友人の影響で、私はバンドに強い憧れを抱くようになっていた。そして、私は両親にギターを買いたいと相談したのである。すると両親は反対し、勉学に心血を注げと私を叱責した。いつもならそこで折れる私であったが、その時に初めて主張を貫き、熱くなってバンドに対する思いを語った。

両親は我が子に初めて反論をくらい、驚いて声を失っていた。生まれて初めて反抗した私も怖くなって青ざめていたのだが、しばらくして両親が顔を見合わせ、ニッコリと笑った。その顔はとても満ち満ちとしていた。

私は状況がつかめず呆然としていたのだが、母が「あんたも自分の思ってること、しっかり言えるようになったんやなあ。安心したわ」と言った。父も大きく頷いていた。私はその時、胸の中で暖かな光がほとばしるような感覚を覚えた。そして自分の誤りを悟った。

私の両親は自分の言うことに全て従うような、風に吹かれる柳のような人間になることを子供に望んでいたのではなかったのだ。一人前に社会で生きていける、根を張った強い人間になることを望んでいたのだ。

時に親に反抗しつつも、自分がこうあるべきだと決めた道を真っ直ぐに歩いて行ける、そういう人間になることを望んでいたのだ。

こうして私は人生初の親孝行を遂げた。その夜私は、私に親孝行の機会をくれた、カタログ上の安いギターに感謝して、満ち満ちた心で眠りについた。

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