京都府京都市
みかん様(10代女性)
それは私の幼い頃の話だ。
私は幼稚園に通っていたのだが、帰りの幼稚園バスではいつも疲れて眠ってしまっていた。バスを降りる時には起こされるわけで、寝起きの私は極度に不機嫌であった。
もっとねたいのに眠れないという八つ当たりからか私はバスを降りた瞬間から一歩も動こうとしないそうだ。どんなに母が説得しても1時間ほどはずっと動かない。
そんな時、私の母はいつも私を置いていくわけでもなく、無理矢理連れて帰るでもなく、一緒に気がすむまで待ってくれていたのだ。真夏の炎天下でさえも待ち続けてくれていた母の優しさに私は気づけていなかった。
そして、これは私の最近の話だ。
母と買い物に行くときに、私は急いでいるとついつい歩くのが早くなってしまったり、先を行ってしまったりする。
しかし歳を重ねた母が、17歳のペースについていくことはできず、遅い足取りになりがちだ。そんな母を私はもどかしく思っていたのだが、ふと気付いた。
母は私の幼いわがままに付き合ってくれていたのに、私はというとただ自分のことだけを考えていただけだった。今度は私が、母に寄り添う番であったはずなのに。
もう今では、私は母の優しさにも、自分の自分勝手なところも気づくことができるようになった。今からでも、母のペースに合わせて待つことのできる喜びも感じられるだろう。