【ペンネーム(掲載時のお名前)】くりかなさん
【性別】女性
【年齢】40代
【住所】福島県郡山市
【「親孝行大賞」のタイトル】
父の集大成
【「親孝行大賞」の本文】
去年、両親がしていた洋食屋を、閉めた。
46年間という営業は、沢山の苦難もあったかと思う。父は80過ぎまでやれると自負していたが、体調不良が続き、77歳で苦渋の決断をした。
私の思いつきで、店の歴史記念にアルバムを作ろうと急遽、プロの方にお願いすることにした。
出張撮影の日は、完全閉店2日前。カメラマンさんからも、「閉店後、内装解体するのであれば、全て撮りましょう」と提案され、あらゆる食器から、沢山のお客様が見てくれたメニュー、サンプルケース、父が使い込んだ相棒の包丁、手垢のついた冷蔵庫、油まみれの厨房、更にはトイレや倉庫までも、細部に至るところを撮ってくれた。
勿論、両親の2人写真、父はコック帽の姿で1枚。ちょうど兄も来ていたので、4人揃って、実に33年ぶりの家族写真撮影ができた。
父から、急に兄と2人で撮ってほしいとリクエストがあり、それも楽しい時間だったようだ。
後日、分厚いフォトアルバムが出来上がり、両親にプレゼントした。大変喜んでくれて、店の細かな写真を見ては「こんなところまで撮ってくれたのは知らなかった」とびっくりし、自分の1人写真を見ては「これは遺影に使えそうだ」と、2人で、めくりながら笑っていた。今でも思い出すように、たまに見てくれている。
両親が人生の大半を過ごした、魂を注いだ店のアルバム、こうして形に残せて良かったと心から思う。
父の特製ドレッシング、グラタン、ナポリタン、大好きだったよ~