【お名前】小西さん
【性別】女性
【住所】神奈川県川崎市
【「親孝行大賞」のタイトル】
「心配しないふり」
【「親孝行大賞」の本文】
私が28歳のときに突然、「父親が早期退職する」ということを、母から聞きました。
「理由はわからないけど、父親が決めたことだから賛成した」と母が言うので、家のローンも完済していないのに、大丈夫かな?と不安に思いましたが、私からなにか言うことはありませんでした。
私は結婚して家を出ていましたが、数日後父親から、「話がある」と言われ二人きりでランチに行くことに。ちなみに、父と二人きりでランチはこれまでしたことがありませんでした。
そして当日。
私はあらかじめ母から退職することを聞いていたので、その話だろうなと思っていましたが、思いの外父親が話を切り出してきません。
仕事やめる、ということは父親として子供に言いにくいことなのかな?ローン完済してないし、退職することで私を不安にさせるか心配なのかな?
そう思うと、これまでずっと家族のために働いてきたのに、なかなか切り出せない父親が可哀想に思えたため、「父親が切り出してきたときは心配しないふりをしよう!」そう決めました。
ランチが終わった頃、やっと父親が、
「お父さん、仕事やめることにしたんだ。勿論何か職は探すけど。」
すかさず私は、
「へー!そうなんだ!じゃあ私が仕事休みの日、新しい仕事決まるまでたまに一緒にランチ行こうよ!」
今思えば余りにも軽い私の返事でしたが、父親はそれを聞くと、
「おっ!いいね!これからは一緒に遊んでくれ。」
と、少し嬉しそうに言ってくれました。
そして、週1くらいで二人でランチに行くようになり、写真も沢山撮って、思い出も沢山できました。
再就職は思うようにいかず、結局退職から1年経った頃、やっと再就職が決まりました。
父とは今でもすごく仲良しですが、父親曰く、
「あの1年がすごく楽しかった!」
と今でも言ってくれます。
母親からも、
「再就職が思いの外決まらないで焦りもあったみたいだけど、いつもどうでもいい話しながら二人で色んなところにランチ行くのが、すごく楽しかったみたいよ。」
と言われました。
普段は「心配すること」で相手を思いやってる気になっていましたが、「心配しないふり」も、父親にとっては「親孝行」だったのだなと思いました。