『命の授業』|ちょっといい話 志賀内泰弘

全国の学校や企業で、「命の授業」を講演する友人がいます。
鈴木中人さんです。

元・大手自動車部品メーカーに勤めていた彼は、お嬢さんを小児がんで亡くされました。親としてどれほど辛かったことか、思うだけで胸が張り裂けそうになります。

会社を辞め、その辛い体験を元に、「命の大切さ」を伝える仕事を始めました。その鈴木さんからいただいた、「プチ紳士・プチ淑女を探せ!」運動のメルマガ読者のみなさんへの、メッセージを紹介します。

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「いのちの授業」をつくる

ある看護学校で「いのちの授業」をしました。会場は、二十歳前後の学生たちでいっぱいです。自分の職業の意味を思い学ぶ学生の眼差しは真剣そのものです。

二週間後、学生の感想文が届きました。感想文の一枚目に校長先生のメモがついています。

「鈴木さん、この学生の感想文をぜひ読んでください」と。

その手紙の初めの一行を読んだ瞬間、息が止まりました。

「鈴木さんは、景子ちゃんのお父さんですか? 私は、景子ちゃんと入院していた〇〇です」

「景子ちゃんと遊んだこと。抗がん剤の治療が嫌で逃げ回ったこと。看護師さんとケンカして、点滴のビンを割ったこと。みんな覚えています」

なんと、その学生は、長女・景子と一緒の病院に入院していた小児がんの子どもだったのです。当時、その子は二歳ぐらいでしょうか。

景子の三年間の闘病期間中、たくさんの小児がんの子どもたちと出逢いました。天国にいった子、お家に帰った子…。今でも思います。あの子たちはどうしているだろうかと。手紙は続きます。

「今日、鈴木さんのお話しを聴いて、あの時、お父さんとお母さんがどんな気持ちだったのか、よく分かりました」
「景子ちゃんやお友だちが天国にいったことを知っています。みんなの思いを胸に生きていきます」

この学生は、中学生の頃には、自分の病気について告知を受けたのでしょう。そして、その重い現実に向き合い、いのちを支え守る看護師になりたいと願ったのです。私は、その手紙を読みながらただ涙がとまりませんでした。

実は、大学の医学部でも「いのちの再会」をしました。1年生からの「いのちの授業」の感想文です。

「景子ちゃんの話は、小学五年生のときに学校で聞いた話でした。写真を見て、『あ、あの子だ』と思い起こされました。『この話を、ただの感動エピソードで終わらせてはいけない。いのちを守る人になりたい』。そう思ったことが、私が医師を目指したきっかけです。
十年の時を経て、私より少し小さい子だった景子ちゃんは、私よりずっと小さい子になりました。二度も私の先生になってくれました。
多くの人が一生懸命に生きている。その生を全力で支え続ける医師になれるように頑張ります」

みんな、いのちに向き合い、涙を流しながら、いのちのバトンを胸に生きていくこと思います。

「いのちの授業」をはじめて、18年目となりました。「いのちの授業」と「いのちのバトンタッチ」の意味をしみじみ思います。いのちの出会い。そして、いのちの再会に感謝ですね。

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この九月、その思いを込めて、新刊本:「いのちの授業」をつくる(さくら社)が刊行されました。
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いのちの授業の実践者・鈴木中人さんと授業づくり&学校経営の達人・玉置崇さん。

立場の異なる二人が「命」について綴られました。
 
自ら「命」を絶つ子供が増えていると聞きました。学校の先生はもちろん、子を持つご両親にも読んでいただきたい一冊です。

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