ちょっといい話『220人の子どもたちへの手紙』志賀内泰弘

今日は、愛知県瀬戸市立(小中一貫校)にじの丘小学校長・渡邊康雄さんから届いたお便りを紹介させていただきます。

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もう7,8年くらい前でしょうか。

地元愛知県の中京テレビのニュース番組「キャッチ!」でお天気キャスターとして活躍されている石橋武宜さんとご縁をいただき、小学校の子どもたちに授業をしていただきました。分かりやすい天気予報をされているのは知っていましたので、期待して当日を迎えたのですが、その期待を大きく上回る授業で面白い、面白い。

興味深い動画やイラストを用いたクイズあり、子どもたちとの掛け合いありと、子どもたちだけでなく、一緒に聞いていた教員まで魅了される時間でした。

その後、教育委員会勤務を経て現任校に赴任したとき、子どもたちには「本物」と出逢わせてあげたい、そんな思いから、コロナ禍ではありましたがなんとか授業が実現しました。予想通り、石橋さんの語りに子どもたちの目は輝き、先生たちは前のめりになっています。リアルな出会いの良さを改めて感じた瞬間でした。

大満足の授業を終えた子どもたちは教室で、小さなプリントに感想を書きました。担任がプリントを配布する際、
「石橋さんに送るからね」
と伝えていますので、感想というよりは石橋さんへの手紙という意味合いが強かったのかもしれません。

その授業から1ヶ月後、私にレターパックが届きました。送り主は石橋さんです。
「えっ、何?」
って思い開けるとそこにはクラスごとにクリップで止められた石橋さんからの手紙が入っていました。しかも、一人ひとりの名前が書いてあり、石橋さんのキャラクタースタンプが1枚1枚押してある。

さらに、その内容は同じものではなく、子どもたちの感想を読んだ返事になっているのです。3年生、6年生ともに約110名。つまり、220名以上の子どもたちの感想を読んで、その返事を1つ1つご自身の手で書いてくださった。

いくら石橋さんへの手紙という意味合いが強かったとは言え、子どもたち全員に手紙を書くのに、どれだけの時間がかかったことでしょう。さらに、同封されていた私への手紙には「にじ」が印刷されている。
もう参りました…。

私が逆の立場だったらどうしたでしょうか。 子どもたちからの手紙を読んで
「うれしいなぁ。」
「そう感じてくれたんだ…。」
と思うかもしれませんが、一人ひとりに手紙を書くという発想は絶対に起こりません。せいぜい「子どもたちの感想を読みました。ありがとうございました」という返事をすることが精一杯の対応。   

講演会で教えていただいたのは天気に関する知識、学ぶことの楽しさだったのかもしれない。しかし、それらのこと以上に優しさや誠意など人として大切なことを子どもたちだけでなく、私たち教職員にも教えてくださいました。

石橋さんにとってたくさんある講演会の1つだったことでしょう。しかし、そんな1つの出会いをここまで大切にしてくださった石橋さんに心から感謝するとともに、石橋さんからいただいた手紙は子どもたちにとって間違いなく宝物です。

分かりやすい天気予報はもちろんですが、石橋さんの優しく親しみのある語り口に多くの人が魅了されています。その影には、出会ってくれた人が少しでも笑顔に、そして、元気になってくれればと面倒、時間がかかるなどの損得考えず行動される石橋さんの温かいお人柄が隠されているようです。

*2回目の講演会が終わったあと、「今回も子どもたちの感想を送りますが、間違っても一人ひとりに返事を書くことはやめてくださいね。石橋さんが倒れてしまいますから。(笑) その代わりと言っては何ですが、全校児童生徒がいつでも見られるよう色紙を書いていただけますか」
とお願い。

その色紙は職員室前に飾り誰でも見ることができるようになっています。 

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