昨年11月25日付「ほろほろ通信」で、こんな話を紹介した。
名古屋市中村区の生駒リサさん(34)は頸椎(けいつい)椎間板ヘルニアの持病があり、首の痛みや手のしびれに悩まされている。2歳の娘さんを抱いて電車に乗ったときのこと。
痛みが限界になったので「席を譲っていただけませんか」と座っている乗客に頼んだ。
ところが「何で譲らないかんの?」などと10人以上の人に断られた。諦めて立っていると、途中、乗り込んできた3人組の高校生が子どもをあやすなど親切にしてくれ、救われた。「その3人にあらためて会ってお礼が言いたいです」という投稿だ。
しばらくして、読者の杉藤誠さん(49)から、首からひもで掛ける名札が中日新聞社宛てに届いた。
そこには「私に席を譲ってください。頸椎椎間板ヘルニアで長く立っていられません」と書かれている。添えられていた手紙には生駒さんへのメッセージが。
「少しでもお役に立てたらと思い、ペンをとりました。失礼かとは思いましたが、名札を作ってみましたので、良かったら使ってください。世の中には、自分の力だけではどうにもならないことがあります。でも、人の力を借りれば、うまくいくこともあります。それでいいんですよ。違う文面がよければ作り直します」
杉藤さんに尋ねると、以前ご自身のお子さんが病気になったことがあり、幸い快癒したが、それがきっかけで困った人に親切にするよう心掛けるようになったという。
生駒さんに報告すると「ご好意をありがたく受け、ぜひ使わせていただきたいです」とおっしゃった。