ほろほろ通信『守ってくれる人がいる』志賀内泰弘<中日新聞掲載2012年9月9日>

蒲郡市の渡辺三根(みつね)さん(45)は中学3年のとき、いじめに遭っていた。直接悪口を言われたり、暴力を受けたり。「具体的にどんなものでしたか」と尋ねると、思い出すとつらくて口にできないという。精神的、肉体的にも限界で生き地獄だった。それでもプライドがあり、先生にも両親にも黙って学校にだけは通っていた。

ある日、かばんの中に台所から持ち出した包丁を忍ばせて登校した。「いじめる奴らを脅してやろう」というつもりで。人を傷付けようというのではない、脅すだけ。クラスの一人が、その包丁を見つけて大騒ぎになった。苦しくてたまらなかった。どうしたらいいのか分からなかった。

ところが、見つかった瞬間、なぜだかホッとして心が楽になったという。後になって、そのときの自分の気持ちがわかるようになった。つらい気持ちを誰かに気付いてほしかったのだと。そして、心の中で「誰か包丁を見つけてくれ」と祈っていたことに。

その日の帰り道、3人の同級生が家の近くで待っていて声を掛けてきた。
「そこまで追い詰められていたなんて知らなかったよ。これからは僕らが守ってやる。今まで苦しい思いをさせてごめんな」
その後、いじめも収まったという。

渡辺さんから、今いじめられている人へ。
「SОSを出そう。絶対に守ってくれる人がいるはずです。もちろん包丁なんて持って行ってはだめですが、何かの方法で心の声を発信してください。また、つらい目に遭った人ほど他人の痛みがわかるようになります。だからきっと、今、いじめに遭っている人も将来、やさしい人になれますよ」

このSОSに気付いてあげるのは、周りの人たちの努めであろう。渡辺さんの3人の友達のように。

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