ほろほろ通信『精いっぱいの思いは伝わる』志賀内泰弘

名古屋市天白区の安江春樹さん(37)が、地下鉄名古屋駅の入り口近くで友人と待ち合わせをしていたときの話。

「何か言い争っているのかな」と思うほどの大声に振り向くと、50歳くらいのおばちゃん(おばさんではなく、おばちゃんという雰囲気)と、学生らしき背の高い外国の青年が向き合って話をしていた。

青年の言葉が聞こえた。「Nagoya Castle」。おばちゃんは手ぶりで四角い建物を宙に描き、「えっ、ああ、ナゴヤキャッソーね」と答えた。ホテルに行きたいのだと解釈したらしい。

安江さんは思わず苦笑い。なぜなら、その「ナゴヤキャッソー」という発音がいかにも英語っぽかったからだ。青年は「チガーウ」(なぜかここだけ日本語)と答えた。そして、手で三角形を作り「ナゴヤキャッスル」とゆっくり言い直した。

おばちゃんは、パッと目を開き「ああっ!名古屋城を見たいの?」。すかさず青年は「Yes!and Sightseeng」と返した。またまたおばちゃんは、「ん?サイシーング?」と悩んでいる様子。青年は指で円を描いたり、カメラで写真を撮るようなしぐさをして、もう一度言った。「サイトシーイング」。今度はゆっくりとわかりやすく。

おばちゃんは「ああ、名古屋を見て回りたいのね!それならメーグゥル(またまた英語っぽい発音で)があるわ」と答えた。おばちゃんは、なごや観光ルートバス「メーグル」の乗り場まで青年を案内して行った。

安江さんは「英語ができなくても精いっぱいやってみる。思いがあれば伝わるのだということをおばちゃんから学びました」と言う。

<中日新聞掲載2012年6月10日>

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