ほろほろ通信『おばあちゃんの知恵・レジ袋』志賀内泰弘

以前の「ほろほろ通信」で、「たかがレジ袋…」という話を紹介した。家族で買い物に出掛けた際、子どもが吐いてしまった。そのとき、年配の女性がティッシュとコンビニのレジ袋をくれ助かった。「今度は私が人の役に立てるように、かばんの中にレジ袋を常備しています」という話だ。

南区の石田富美子さん(51)も同様の体験をしたことがあるという。結婚して間もないころのこと。食事の帰り道、地下鉄の中でご主人の気分が悪くなってしまった。少し飲み過ぎたらしい。途中下車したがトイレまで間に合わない様子。かばんの中からレジ袋を取り出し、ホームを汚すことなく事なきを得た。

後で「ありがとう。助かった。それにしてもよくレジ袋を持っていたものだね」と言われうれしくなった。

実はこれには理由があった。幼いころ、石田さんはおばあちゃん子だった。両親が働いていたため、学校から帰ると毎日おやつを作ってくれた。そのとき「かばんの中にはいつもビニール袋と輪ゴムを入れておくと何かと役に立つからね」と教えられた。

おばあさんも実際に、老人会のバス旅行で車中のゴミを入れたり、気分が悪くなった人に差し上げたりしていたという。そんな思い出話をしたら、ご主人は「昔の人は知恵があるなあ。いい嫁さんと一緒になれたよ」と言ってくれた。

他にも「腹が立っても怒る前に20数えてごらん。1、2、3…」と教えられた。20になるまでに怒りもトーンダウンするというものだ。「天国のおばあちゃん。おかげで元気でやってます」と石田さん。

<中日新聞掲載2011年06月05日>

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