ほろほろ通信『愛犬に供えられた菜の花」』志賀内泰弘

豊田市の太田のりこさん(40)は介護福祉士として病院勤めをしている。今年の3月初めこと、夜勤明けで帰宅すると愛犬のジョーが冷たくなっていた。老化がすすみ、1ヶ月くらい前から歩けなくなっていた。覚悟はしていたものの、14年間も一緒に過ごしてきたのでショックだった。

ふと見ると、ジョーの亡きがらの上に、かわいいリボンで結ばれた菜の花が置かれてあった。「誰が…」と思い巡らしたがわからない。でも、そのおかげで悲しみが和らぎ救われた思いがした。

その日の午後、ご近所の方から電話があった。そのお宅の中1と小4の娘さんが、自宅の畑で育てている菜の花を摘んで供えに行ったのだという。「実は…」とこんな話をされた。

ジョーは、裏庭で飼っていた。通りに面しているので、集団登校の子どもたちが声をかける。その中に、二人の娘さんもいた。上のお子さんが小学校へ通い始めたころのことだそうだ。不安で毎日ドキドキして登校していた。

毎朝、ジョーがほえる。
「元気にいってらっしゃい」と言ってくれているかのように聞こえた。それが励みになった。同時にジョーに親しみがわいた。以来、6年間もかわいがってくれたのだという。

「さようなら。いつまでも忘れないよ」
という気持ちを込めて花束を作ってくれたとのこと。太田さんは、亡くなってから初めて、ジョーが人の役に立っていたことを知りうれしくなった。

「二人のお嬢さんありがとう」。また「ジョーの代わりに子どもたちが元気に登校できるよう応援しています」と言う。

<中日新聞掲載2010年9月19日>

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