『子どもたちの「おもてなし」』|ほろほろ通信 志賀内泰弘

今年の敬老の日の出来事。名古屋市北区の平井邦子さん(76)は名北小学校で開催されるお祝いの会に招待された。

邦子さんは以前、民謡の踊りを習っていたことがあり、毎年敬老の日になると、仲間と出演して踊りを披露する。

ところが、いつも幕が開くと、あまり喜んでもらえていないような雰囲気が伝わってきた。さらに、来賓のあいさつが長いのも苦手。あまり気乗りしなかったが、友人と一緒に出掛けた。

校門で若葉中学校の生徒たちが「おめでとうございます」と笑顔で迎えてくれた。会場は2階の体育館。階段の下で生徒が「段差があるので気を付けてください」と声掛けしてくれた。なんだかうれしくなった。

入り口でスリッパと靴を入れるための袋をサッと手渡される。席に着くと、女子生徒がやって来て、冷たいお茶をふるまわれた。しばらくすると紙コップを回収しに来てくれた。まさに至れり尽くせりで感激した。

来賓のすこぶる短い挨拶が終わると演目が始まった。メーンは若葉中のジャズアンサンブル部の演奏だ。ジャズフェスティバルで数々の受賞歴があることで有名。

ところが曲目はジャズではなく昭和の歌謡メドレーだった。「青い山脈」「川の流れのように」など懐かしい曲ばかり。ラストの曲は山口淑子さんの「夜来香」。

その日の朝刊で逝去が報じられたばかり。その音色に涙ぐんだ。

帰りも生徒さんたちが並んで「お気を付けて」と見送ってくれた。「あまりうれしくて初めて投稿しました。生徒さんたちにお礼を伝えたくて」と邦子さんは話す。

<中日新聞掲載 2014年10月5日>

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