『幼子に励まされて』|ほろほろ通信 志賀内泰弘

あま市の斉藤文彦さん(54)は、10年ほど前に長く勤めていた会社が倒産した。その後、さまざまな仕事を経て人材派遣会社に登録。現在は、派遣先の名古屋市内の駐輪場で働いている。

以前は無料だった利用が有料化されたときのこと。施行開始が急だったこともあり、利用者から「横暴だ」などとずいぶん厳しい言葉を浴びせられたという。

しかし、日がたつにつれて理解度が深まり、半年もすると利用者ともコミュニケーションを交わせるようになった。

斉藤さんは今の仕事を接客業と強く自覚して働いているという。小さな子どもが預けに来たときには、できるだけ出口に近い場所に止めてあげる。

出庫する際には手伝ってあげたりもする。スピーディに入庫できるように、こちらで利用券のシールをサドルに貼ってあげる。

「大半の人からは感謝されますが、おせっかいだと反感を買われることもあって、気遣いもなかなか難しいです」と斉藤さんは話す。

さて毎朝、通勤・通学の人とあいさつするのが斉藤さんの楽しみだ。そんな中、一組の母娘と顔なじみになった。

自転車の前のチャイルドシートに乗った2歳くらいの娘さんが、斉藤さんに「おはよう」と声を掛けてくれる。こちらも「おはようございます」と応える。夏は「暑いね」と言うので「ほんと暑いね」と返事する。

その年頃で人見知りしないことの愛らしさに加え、向こうからあいさつしてくれることに感激した。そばで母親もにこにこと見守っている。どんなに疲れていても、どんなに嫌なことがあっても一瞬に吹き飛んでしまうという。

<中日新聞掲載2014年2月23日>

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