『命の恩人、見つかりました』|ほろほろ通信 志賀内泰弘

昨年の12月8日付「ほろほろ通信」で、江南市の町野吉美さん(57)の話を紹介した。

自宅が火事と聞いて勤め先から駆け付けると、家の前にぼうぜんと母親(81)が座り込んでいた。

聞けば、見知らぬ男性がまるでスーパーマンのように燃え盛る火の中に飛び込み、先天性の心臓疾患と知的障がいがある次女を助け出してくれた。救急車で病院へ搬送されて奇跡的に助かり、お礼を言いたいがどこの誰か分からない。

掲載から一週間後のこと。町野さんの家を40歳くらいの男性とその母親が訪れた。小欄を読んだ男性の知り合いから「おまえのことじゃないか」と言われ、助けた女の子のことが心配で様子を見に来たという。

男性から話を聞いた町野さんは、初めて火災当時の状況を知ることができた。

男性は、両親と車で墓参りに出掛けた帰り道、煙が上がっているのを発見。

脇道へ入ると、おばあさんが「孫が2階に」と叫び、中に入ろうとしていた。2階を見上げると女の子が手を振っていたが、間もなく煙で姿が見えなくなった。

男性の母親は、おばあさんを羽交い絞めにして止めた。その間に男性が2階に駆け上がり救い出した。必死だったせいか、男性が帰宅すると片方の靴がないことに気付いたという。

町野さんは消防署員から「救助してくれた人が見つかったら教えてください」と言われていた。

おそらく人命救助の表彰のためだろう。しかし、その男性から名前を公表するのは控えて欲しいと頼まれた。その謙虚さにも頭の下がる思いがした。

「手術も成功し、平穏に暮らしていることを報告しました。直接お礼が言えてほっとしています」

と町野さんは話す。

<中日新聞掲載2014年1月26日>

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