『ごめんなさい、ありがとう』|ほろほろ通信 志賀内泰弘

今から9年前の残暑厳しい9月のこと。名古屋市中川区の石原貴野さん(46)が娘さんを幼稚園に迎えに出掛けたとき、グランドで突然、頭がグラッとしたと思ったら意識を失った。

くも膜下出血だった。

救急車で病院に搬送され、すぐに手術。幸い、処置が早かったこともあり一命を取り留めた。しかし、左半身が不自由になり、リハビリも含めて2年間の入院生活を余儀なくさせられた。

退院してからの生活が大変だった。

夕飯はヘルパーさんに下ごしらえをしてもらい、その後は自分で右手だけで作るが思うようにできない。そんなとき、息子さんが手伝ってくれた。皿にラップをかけたり、ペットボトルなどの重い物を運んでくれたり。ジャガイモをむいてくれたこともある。

ある日のこと。当時小学6年の息子さんが、小学1年の妹に何やら内緒話をしているのが聞こえてしまった。二人には気付かれないように聞き耳を立てた。

「お兄ちゃんは、明日から一泊二日の修学旅行に出掛けるから家にいないんだ。おまえがお母さんを助けてあげるんだぞ」

自分が留守のときまで心配してくれたことに涙があふれたという。

今では、娘さんも洗濯の手伝いなど家事を手伝ったり、お風呂では背中を流したりしてくれる。

車いすが必要なため、スーパーの買い物は週に2回、ご主人が車に乗せて行ってくれる。貴野さんから家族へ。

「入院中は学校の行事にも出られなかったし、今もいろいろとみんなに頼みごとばかり。この9年間、迷惑ばかりかけてごめんなさい。そしてありがとう」

<中日新聞掲載2014年1月12日>

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