『御在所から戻ったタオル』|ほろほろ通信 志賀内泰弘

今年の5月、名古屋市中川区の小学6年岡部拓未君は、三重・滋賀県境の御在所岳に出掛けた。

小学2年の妹はおばあさんとロープウェイで、拓未君と中学2年のお姉さんは、おじいさんと一緒に登山をした。とても暑い日で、汗びっしょり。お姉さんのタオルを借りて何度も顔の汗を拭いた。

九合目でお姉さんが声を上げた。「タオルがない」と。どうやら七合目の休憩所に忘れて来てしまったらしい。しかし、疲れていたので引き返す元気もない。帰りの時間のこともあり、ロープウェイで下山したのでタオルはあきらめることにした。

それから数日後のこと。拓未君は担任の先生に呼ばれた。差し出されたのは、あのタオル。「あっ!お姉ちゃんのだ」とすぐに分かった。

きれいに洗濯がされ、「熨斗(のし)」のような紙が巻かれてある。そこには「御在所でタオルを落とされた岡部ちゃんへ」と書かれてあった。

聞けば、学校の郵便受けに入っていたのだという。差出人の名前も住所も書かれていなかった。先生は、てっきり拓未君の知り合いが送ってきたものだと思ったとのこと。

タオルには「篠原小おかべ」とフェルトペンで書かれていた。お姉さんが小学6年のときに、修学旅行へ持って行くために名前を書いたものだった。おそらく、タオルを拾った方は「篠原小」という学校名を手掛かりに、住所を調べて送ってくれたのだと想像できた。

見知らぬ人の温かな気持ちに触れ、両親も含めて家族全員で感激したという。かなうものなら「ありがとうございます」と直接伝えたいと拓未くんは話す。

<中日新聞掲載2013年12月22日>

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