『黙々と草取りをする人』|ほろほろ通信 志賀内泰弘

小牧市の駒城欣子(こまき)さん(72)の住む町にはブランコや砂場、雲梯(うんてい)、滑り台などの遊具が設置されている公園がある。春になると雑草が芽を出し、夏にはぼうぼうに茂る。

そこで日曜の朝、町内会で草取りをする。ブロックごとに交代で20人くらいが参加。ところが取っても取っても、しばらくすると再びびっしり生えてくる。

1年ほど前のことだ。朝7時半ごろ、犬の散歩の途中にその公園を通り掛かると、一人の男性が草取りをしている姿が目に入った。見掛けたことのない人だった。

遠巻きに見ていたら、実に細やかな作業であることが分かった。草を一つ抜くと、根っこに付いた土を木づちのような物でたたいて落とす。落ちた土がたまると、網で振るいをかけて細かくする。その細かな土を再び地面にまき、道具を使ってきれいにならす。あまりの丁寧さに驚いてしまった。

その後も、毎日その男性が草取りをする姿を見掛けた。やがて公園は、できた当初のように真新しくなった。思い切ってその男性に「いつもありがとうございます」と声を掛けた。

すると「定年で暇になりすることがないので、こうして草取りをしているんです」と言われた。黙々と草を取る男性に頭が下がる思いがした。

駒城さんは道端にごみが落ちていると、サッと自然に拾う習慣が身に付いていることに気付いた。

「その男性ことを思い出して拾ってしまうのです。どなたか存じ上げませんが、どうかお体に気を付けて続けて下さい。小牧の町がますます美しくなりますように」と駒城さんは話す。

<中日新聞掲載2013年6月2日>

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