ほろほろ通信『小牧市消防署の「まもるくんカード」』志賀内泰弘<中日新聞掲載2013年4月21日>

前回、小欄で、小牧市の会社員・吉川知宏さん(40)が取引先の人が意識を失って倒れた際に、自動体外式除細動器(AED)などを使って救命措置を行ったという話を紹介した。

吉川さんは初めてのことで、実は緊張と焦りで手が震えていた。救急車を見送った後も、一命を取り留めたという連絡が入るまで「自分がやったことは正しかったのだろうか」と不安で仕方がなかったという。

今年の1月。吉川さんは、たまたま小牧消防署の救急救命士・田島典夫さんと話す機会を得た。

救命活動の際に、いかに不安だったかを伝えると「同じように不安だったという声を聞きます」と言われた。その不安をケアするため、小牧消防署がある試みを始めたとのこと。

その試みについて、田島さんに電話をして尋ねた。すると「まもるくんカード」なるものを作ったのだという。

救急車が来るのでの間、AEDなどの救命活動をしてくれた人たちは多くの場合「自分は間違ったことをしたのではないか」というストレスを感じる。

救急隊員は応急処置をして、病院まで搬送するのが仕事だが、救命の手助けをしてくれた人の心のケアもしたいと考えた。

そこで「応急手当を実施していただきありがとうございました。あなたの勇気ある行動に心から感謝します。今後も救命活動にご協力をお願いします」というカードを手渡す。

東京や岡山など一部地域で実施されている感謝カードをお手本にした。吉川さんからも「経験者としては心が和らぎます」と言われたとのこと。

田島さんは「効果のほどはまだ分かりませんが、市民の救命活動への理解が広まることも期待できればと思います」と話す。

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