ほろほろ通信『お母さんを尊敬しています』志賀内泰弘<中日新聞掲載2013年4月7日>

名古屋市緑区の橋本佳乃さん(14)が、お母さんと歩道を歩いていたときのこと。ふと足元に、たばこの吸い殻が落ちているのが目に入った。

佳乃さんは腹が立ち「誰が捨てたんだろう。だめだね」と口にした。お母さんはそれには何も答えず、黙って吸い殻をサッと拾い、かばんから取り出したレジ袋に入れた。

それを見て、自分は怒るだけで何もしなかったことに恥ずかしくなったという。

実は、佳乃さんのお母さんにとっては、いつものことなのだという。一緒に外出したときには、路上にゴミを見つけると拾って歩く。

たまたまレジ袋を忘れてしまい、拾った空き缶をそのままセカンドバックに入れて持ち帰るのを見たことがある。

佳乃さんが「ちょっと汚いな」と言うと「別に大丈夫よ」。

それだけではない。コンビニで車いすの人に棚の高い所にある商品を取ってあげ「他にも取りましょうか」と言い、店内を付いて回ったこともある。

佳乃さんが「よくやれるね」と言うと「普通だよ」という返事。かといって、けっして「あなたもそうしなさい」とは言わない。

普段からお母さんに「勉強しなさい」と言われたこは一度もないという。成績が良くないことがあってもしからない。ただ、礼儀にだけは厳しい。人に親切にされたらお礼をきちんと言うこと。名前を呼ばれたら返事をすること。特にあいさつにはうるさい。

「自分もお母さんのまねをして、ごみを拾うこともあります。でも、いつもというわけではありません。それができるお母さんのことを尊敬してます」

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