ほろほろ通信『アナタハヤサシイヒト』志賀内泰弘<中日新聞掲載2013年1月13日>

阿久比町の原真智子さん(69)が、ご主人と穂高を旅行したときの話。

帰途、高山駅から電車に乗り込むと、十数人の外国の若者と一緒になった。そのうちの二人の女性が、原さん夫婦と通路をはさんで隣の席に座った。

ふと目をやると、通路側の女性のなんともかわいらしいこと。色白でふっくらとし、鼻が少し上向きになっているのが印象的。原さんは思わず絵筆を取り出して、彼女の似顔絵を描き始めた。

というのは、原さんは20年以上前から、絵手紙を日に1枚のペースで書き続けており、旅に出掛けるときには必ず、はがきと筆と絵の具、それに切手を携えているからだ。

「ようこそ日本へ ようこそ高山へ」

と言葉を添えた。手前みそだが、実にうまく描けたという。

そこでプレゼントしたくなり、モデルになってくれた彼女にそっと差し出した。何も言わずに笑顔で。

すると、たいへん喜んで受け取ってくれ、他の車両の仲間たちにまで見せて回ってくれた。戻ってくると、お礼にとコインをくれた。刻印を見て彼らがオーストラリアの人だとわかった。

そのまたお礼に、手元の切手を渡した。相撲とわらべ歌の図柄のものだ。

彼女は辞書を取り出して何やら真剣に調べ始めた。やがて電車は名古屋駅のホームへ。降車の支度をしていると、彼女がこちらを向いて手元の紙切れを読み上げた。

「ドウモアリガトウ アナタハヤサシイヒト」

お礼の言葉を調べていたらしいことがわかった。無事の帰国を祈って「気を付けて」と言うと、「バイバイ」と仲間全員で手を振ってくれた。

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