<氏名>
山田さん
<学校名・学年>
北九州工業高等専門学校
<心に響いた「たった一言」>
「色々な人と出会い、すてきな色を重ねていって」
<「たった一言エピソード」>
私には幼いころから心がけていることがある。それは人との出会いを大切にすることだ。
先輩にアドバイスをもらったり、ご近所の人と世間話をしたり、新しい友だちと仲良くなったり。人との会話で新しい発見をすることもある。
私がこのことを意識するようになったのは私が小学一年生の頃だ。
そのころ私は友だちとよく遊んでいた。色々な人の家を訪れる中でとびきり明るいお母さんがいた。幼い私によく話しかけてくれたのを覚えている。
ある日、私は親の仕事の関係で引っ越しをすることになった。いくつもの県をまたぐのでもう簡単には会えなくなる。
お別れの時、そのお母さんが私にプレゼントをくれた。笑顔で「元気でね」と手渡してくれた。
引っ越し先の家について包みをあけると、懐かしい香りがした。中には青い缶と手紙が入っていた。缶の中には八色の塊が入っていた。私は塊の正体が知りたくて手紙を開けた。
手紙には、息子や小さい子と遊んでくれてありがとうという感謝が綴られていた。最後にあの塊はクレヨンだということが書かれていた。確かにあの香りは幼稚園のころ使っていたクレヨンの香りだ。
「あのクレヨンはこの紙のように重ねてぬるときれいな色がでてきます。みーちゃんも色々な人と出会い、すてきな色をかさねていってほしいな」
黄色を中心とした赤や緑のグラデーションがほどこされた手紙はあの明るいお母さんを思い出させた。
十六年間で色々な出会いがあった。仲良くなれるだろうかと不安になったひとも、一生の思い出をつくったひともたくさんいた。それでも、一人増えるごとに一色増えてくと思うと人との出会いが楽しくなる。
私の人生の最後にできあがる色はあの手紙のようにきれいではないかもしれないけれど、私の出会いがつくり出したすてきな色であることは間違いないはずだ。