福岡県遠賀郡
氏名:柳本さん
<心に響いた「たった一言」>
「八割でええ」
<「たった一言エピソード」>
私が中学生のころ、母が急病で入院した。
父は自営業で忙しく、私と弟のことはあまり構っていられない。
私は、父と弟の食事の用意、母のお見舞い、勉強などで、属していた卓球部もあまり参加できない状態だった。
当時小学校5年生だった弟は生意気盛りで、母の居ないことをいいことに宿題もせずに遊びまわっている。
私が作った焼き飯を食べても、「まずい。」と言うので、ある日大喧嘩になった。
そして、私は、
「あんたが、そんな子だから、お母さんが病気になったんや」
と、怒鳴ってしまった。
すると、反抗的な顔をしていた弟が、いきなり泣き出してしまった。私はどうしていいかわからず家を飛び出して、近くの祖父の家に飛び込み、仏壇の前で声を出して泣いていた。
気分が落ち着いてから、祖父に話をすると、
「何もかも十割じゃのうて、八割でええんじゃよ」
そう言って、頭を撫でてくれた。
私は、肩に力が入り過ぎ、すべて母と同じように、しかも勉強や卓球まで犠牲にしてという思いが強かったようだ。
それ以降、つい力み過ぎてしまう自分に気づいた時、「八割でええ」を思い出すようにしている。