たった一言でコンテスト受賞作品★ハッピー賞★『使えるうちに使わなきゃ、もったいないもったいない』

東京都品川区
ペンネーム:サクマドロップスさん

<心に響いた「たった一言」>
「使えるうちに使わなきゃ、もったいないもったいない」

<「たった一言エピソード」>
19歳の初夏。家族に暴力をふるう親と折り合わず、東京で大学の学費と生活費のため、昼夜働きながら、国家資格取得に向けての勉強をしていました。その頃の私は、両立に疲れた上、人格障害を抱えた友人に振り回され、完全に追い詰められた状態でした。

ついに気持ちが至ったのですが、感電する為の道具は壊れ、首をつろうとくくり付けたアパートの扉は体重がかかった途端折れてしまいました。術がなく、思いつめた私は「飛び込むしかない」と道路の横をフラフラ歩き始めました。

小さな子どもも横道にそれたし、そろそろ逝こうかと思ったその瞬間、脇の小道からひょいとおばあさんが出てきました。いなくなるタイミングを待っていましたが、歩き疲れ気力のない私とおばあさんは歩く速度がほとんど同じ。

このおばあさん、ステテコみたいなのを履いて、肌着のようなものを一枚しか着ておらず、荷物も持ってません。そのうちおばあさんが並んできて一方的に、90歳で、家は近所で、毎日この辺を歩いているのだと話してきました。

私は適当に相槌をうち、ぎこちない笑顔で対応していると、駅はどっちか聞かれたんです、近所なはずなのに。「大丈夫かなこのおばあさん、ボケてる?家族の人心配してないかな」

でも私は、構っていたらいけないと、あまり気にしないことにしました。

そのおばあさんは、通りすがるあらゆるものを見て飛び上がり、手を叩いてはしゃぎました。散歩に連れられた犬を見ては「はぁ可愛いねぇ!」、人の家の木に咲く花を見ては「はぁ〜、きれい!!」と。なんでこんなにずっと楽しそうにしてるんだろう、と思ったとき、おばあさんは何気なくこう言ったのです。

「目が見えるうちに綺麗なもの見なきゃ、もったいないもったいない。使えるうちに使えるもの使わなきゃ、もったいないもったいない」

私はハッとしました。何かが心に響きました。

その後暫くして、駅の方向におばあさんは歩いていきました。一人になった後も、ずっとおばあさんの顔と言葉が頭をよぎりました。私は、まだ若い。あのおばあさんの何分の一を生きただろう。できることがまだあるんじゃないか。

その後の私は、毎日の時間を惜しむように、自分のやりたいこと一切を妥協せずに、精一杯楽しむようになりました。そして、大事な人を今まで以上に大切にできるよう、繋がりや、喜怒哀楽を分かち合う瞬間をとても大切にするようになりました。

それから10年。来年ママになることを知ってからは、急ぐことをやめましたが、それも今まで精一杯楽しんで色んな経験ができたから、今のゆったりした時間をいとおしく思えるのだと感じています。

私の今の幸せがあるのは、私のまわりにいてくれるたくさんの人と、あの時のおばあさんのお陰。いつもいつも支えてくれる、大切な言葉です。本当に、ありがとう。

きっと今度は、私の番ですね。

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