<氏名> 竹中さん(東京福祉専門学校)
<心に響いた「たった一言」>
「綺麗だよ…着物がな」
<「たった一言エピソード」>
今年はちょうどおばあちゃんとおじいちゃん結婚50周年の年でした。私はお父さんに頼んでホテルのレストランの宴会場を貸しきりにしてもらい、いとこや伯父さん夫婦にも協力してもらって、おじいちゃんとおばあちゃんの金婚式を行いました。
おじいちゃんは若いときにパチンコや競馬、お酒などたくさんやんちゃをしていて、おばあちゃんはそれで悩まされ、人一倍苦労してきました。それでもおばあちゃんは50年間、おじいちゃんがお仕事でうまくいかないときも、病気で倒れたときも、ずっとそばで支えてきました。
私達はそんなおばあちゃんのために、綺麗な着物を借りて、おばあちゃんに着させてあげました。おばあちゃんは、綺麗にお化粧してもらって、立派な着物に身を包んで、ほんとうに綺麗でした。
その姿を見て、おじいちゃんはとても驚いていました。おじいちゃんとおばあちゃんは、結婚式をしていなかったので、おばあちゃんの美しい晴れ姿を初めて見たのです。
いつもはがんこで、おばあちゃんを誉めたりなんかしたこともないおじいちゃんでしたが、おじいちゃんは少し照れくさそうに、
「綺麗だよ…着物がな」
と言いました。
「あら、着物がかい!」
とおばあちゃんは笑いました。でも、二人ともとっても幸せそうでした。
最後までがんこなおじいちゃんでしたが、とっても嬉しそうな二人の笑顔をみて、みんながとっても幸せな空気に包まれた瞬間でした。