『くしゃくしゃの折り鶴』|ほろほろ通信 志賀内泰弘

田原市の山本生子さん(50)は、農業資材を販売する会社に勤めている。この会社では、東日本大震災の復興事業として東北地方で農業用ハウスの建設に携わってきた。

その縁から、毎年開催しているお客様感謝祭というイベントで、被災者の方たちのために募金活動をしている。イベントではジュースやお菓子を無料で提供。地元の中学生の和太鼓のステージもあり、取引先以外の一般の人たちも大勢訪れる。

開催に当たり、社員から「ただ募金するだけでなく、応援する気持ちを添えられないだろうか」という声が上がった。そこで、千羽鶴を一緒に届けることにした。

募金コーナーにテーブルを置き、色紙にメッセージを書いて鶴を折ってもらう。大きなボードに愛知県と東北の地図を描き、折鶴を張り付けてその二カ所を結ぶという演出も考えた。もし千羽に達しなければ、社員全員で折ろうという話になった。

募金コーナーに、5歳くらいの女の子を連れたおばあさんがやってきた。

「この子が折ったんですけど、くしゃくしゃですみません」

と言う。見れば、何度も何度も折り直したと思われる鶴が手のひらにあった。

女の子は「お願いします」とペコリと頭を下げた。
「ちゃんと折れたね、ここへ一緒に飾ろうね」と受け取ったという。

イベントでは、千羽どころか三万羽の折り鶴が集まった。1月末、募金とともに宮城県山元町など三カ所へ渡しに行ったとのこと。

「たった一羽だけれど、心を込めることの大切さを女の子に教えられた気がして、思わず涙が出ました」と山本さん話す。

<中日新聞掲載2014年3月16日>

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