ほっこり親孝行ものがたり『第7回 両親と一緒に墓参りする』志賀内泰弘

「両親と一緒に墓参りする」

明日からお盆休みだ。そう思うだけで、心がウキウキする。何も予定を入れていない。カミサンは、従姉妹会があり毎年、実家へ帰るのが決まり事だ。ということで、早々に、
「あなた、ご飯は自分でなんとかしてね」
と、言われていた。高2のケンと中2のアヤも、塾やら友達との約束で予定がびっしりだという。「暇」なのは、オレだけだ。買い物に付き合ったり、子どもの習い事の送迎など、「あれをしろ」「これをして」と一切言われる心配がない。この解放感は、他人には理解できないに違いない。

机を片付けていたら、部長から、「一杯行くか?」と声を掛けられ、「もちろん!」と笑顔で答えた。2杯ほどジョッキの大を飲み干したところで、部長に聞かれた。
「休み、どうすんだよ」
「とくに何も・・・ビデオでも借りて来ようかなと」
家族全員が留守をしていて、ウキウキだという話をする。
「部長はどうされるんですか?」
「決まってるだろ」
「え?」
「墓参りだよ」
「墓参り?」
「ああ、彼岸だからな、娘と福島の実家に帰る。高速でピューンとすぐだ」
たしか部長の娘さんは、大学2年生か3年のはずだ。
「お嬢さんが、付き合ってくれるんですか」
「ああ、いまだにおじいちゃんから小遣いもらうのが目的らしいがな」
「奥さんは?」
「奥様は奥様で、自分の実家の墓参りだよ。博多。もう昨日から出掛けてるよ」
「えらく律儀というか、信仰心が篤いんですね」
「別にそういうわけじゃないさ。ただな・・・」
「ただ、なんですか?」
「一緒に墓参りに行くと、オヤジもオフクロもものすごく喜ぶんでな。その顔を見るのが嬉しくてさ」

そう言い、部長は3杯目をグイグイッと飲み干した。そういえば、墓参りなんて、祖母の納骨以来、していないことに気付く。オレは、4杯目を注文するのをやめた。(明日は、早起きして実家に顔を出すかな。線香とかは向こうにあるよな。でも、花屋って朝、何時から開いてるんだけっけなぁ)

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