親孝行大賞受賞作品★ホスピタリティ賞★『一番の親孝行』志賀内泰弘

宮崎県延岡市 濱 田 祐介様の作品

「 一番の親孝行」

「大学教授になって帰ってくるから」

そう言って、私は両親と離れ自分の希望通りの大学へと進学した。母は別れ際の車で泣いていたというが、そんなことはつゆ知らず、私は明日から始まる新生活に胸を躍らせていた。

しかし、新生活はそう甘いものではなかった。周りを見ると、到底かないそうにない友だちが居て進学早々に大学教授の夢を諦めざるをえなかった。自信を失っていた私に、さらに追い打ちをかける出来事が…。

それは、自分が好きだった彼女に嘘をつかれ、別れたこと。周りの信用していた友だちにも色々な嘘をつかれ、私から人が去っていった。絶望した私は、学校に行けなくなり留年が決定した。

留年が決定した次の日、朝早くに玄関のチャイムが鳴った。両親だった。学校から連絡があったんだろう。私は怒られるのを覚悟で両親を迎えたが、最初の一言は、

「お腹すいただろう。ご飯食べたら?」
と言って、おにぎりを渡された。私にとってそのおにぎりは最高に美味しく涙がこぼれた。父は、私に自分も大学を留年したこと、失敗談をこれでもかというくらい聞かせてくれた。怒られることは全くなかった。

両親はその後、掃除をして帰っていった。当時、高速道路は全部今のように開通していなかったので広島から宮崎まで片道約10時間くらいだろうか、両親は仕事終わりで疲れているのにも関わらず、私を励ます為だけにそれだけの時間を使ってくれたのだ。私は、もう一度、人を信じてみようと思った。そして、いつしか夢は、父と同じ教師になることになった。

何度も採用試験に失敗したが、挑戦して4年後、正式に採用された。父が一番喜んでくれた。「最高の親孝行をしてくれてありがとう」と言ってくれ、最高の笑顔を見せてくれた。現在、教員生活14年目、まだまだ父の背中は見えてこない。

でも、子どもたちに人を信じることの大切さ、そこに居てくれるだけで幸せな存在なんだということを伝え続けていきたい。それが、私が両親にしてもらったことを返す最高の親孝行になると信じて。

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