親孝行プロジェクト『離れて暮らす両親のために』志賀内泰弘

もう15年ほど前の話。自宅で父親の看病をしていた母親が倒れました。検査をすると末期癌とわかりました。すぐ隣合わせの家で暮らしていたので、会社に出掛ける前と、帰宅してすぐに覗きに行きます。

その後、父親は病院へ入院し、母親を自宅で介護することになりました。妻も、精いっぱい尽くしてくれましたが、仕事を持っているので一日中というわけにはいきません。

父親は、完全看護なので、「何か」あっても看護師さん、お医者さんが付いていてくれるので安心です。でも、母親のほうはそうはいきません。「そんな難しいもの」と嫌がるのを説得して、母親に「緊急用」にと、携帯電話を持たせました。

会社の机の上に置いた携帯電話が、気になっておちおち仕事も手に付きませんでした。「便りのないのは無事の知らせ」というわけにはいきません。ときどき、こちらから家に電話します。
「何の用事?」
「大丈夫?」
「大丈夫よ、今日は気分がいい」
なんて会話を交わすだけでも、ホッとします。でも、真冬などは、トイレで倒れていないかと不安は募りました。

「365日の親孝行」(レベラル社)では、親孝行のために商品やサービスを紹介しています。そのうちの一つに、象印が発売している「みまもりほっとライン i-POT」という商品があります。ミニドラマで、その機能を紹介しましょう。

京都に一人暮らしのお年寄りが暮らしています。息子夫婦の家族は、東京で生活していますが、「もし、何かあったら・・・」と心配でなりません。かといって、しょっちゅう京都と東京を往復するわけにもいかない。
母親は、毎日、電気ポットでお茶を飲みます。ポットを使うと、携帯電話で東京の息子にメールが届きます。つまり、ポットを使っているということは、「今日も無事」に生活しているというものです。

このポットには、無線通信機が内臓されています。「電源を入れた」「給湯した」という使用状況が、インターネットを通じて携帯電話やパソコンに届く仕組みになっているのです。一日に二度、指定した時間にポットの使用履歴が届きます。こちらから、いつでも最新状況を呼び出すこともできるそうです。

ただの電気ポットを工夫して人の役に立つ製品を作った、という発想が優しくて心に沁みました。ポットを買うと、オマケに「安心」が付いてくる。なんとも嬉しいじゃないですか。

遠くで暮らす両親。年々、年老いて、身体が不自由になっていく。かといって、会社を辞めて故郷に帰るわけにもいかない。都会へ両親を呼び寄せれば安心できます。でも、さまざまな事情で、そう簡単にかなわない。

そんなジレンマを、少しでも解決してくれるアイデア商品です。

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