ニワゼキショウ
トキワハゼ
ユウゲショウ
マツバウンラン・・・。
さて、何のことかお判りでしょうか。これなら、「知ってる!」と声が上がると思います。
カタバミ
スミレ
ツユクサ
ハルジオン。
そう、雑草の名前です。それも、特別に珍しいものは一つもありません。都会の真ん中にある公園や街路樹の下、コインパーキングにも、ごく普通に見られるものです。自粛、自粛と呼びかけられて、これでは身体だけでなく心もおかくしなってしまう。
そこで、今までよりも頻繁に散歩に出掛けるようになりました。ただ散歩するのも飽きてしまう。そこで、以前から興味があった「雑草」の写真を取り始めました。今まで、何気なく通っていた近所の道が、それこそ「お花畑」だと気づきます。名前がわからないので、「雑草図鑑」をたくさん買い込んで調べます。雑草の生態の解説した本も含めると、数十冊にもなりました。
ある日、ふと思いました。
雑草の一つひとつが愛おしくてたまらなくなったのです。我家の前の側溝にも雑草が生えています。隣三軒両隣は、とてもキレイ好きで、毎朝の玄関周りの掃除を欠かしません。もちろん、雑草なんてとんでもない。1本も生えていません。そんな中で、私はなにかとても後ろめたい気持ちでいっぱい。
ノゲシが、ちょうど花を付けたところで、雑草とはいえ、私には抜くことができないのでした。なぜなら・・・その名前を知ってしまってから、「雑草」ではなく「ノゲシの花」に変わったからでした。
いつも行くスターバックス。
中に入ると同時に、Nさんが声を掛けてくれます。
「志賀内さん、おはようございます」
「おはようございます」
「めっちゃ朝から暑いですよねぇ。志賀内さん体調大丈夫ですか?」
「な、なんとかかんとか・・・です」
「志賀内さんはやせてるから、特に熱中症に気を付けてくださいね」
「ありがとう」
そうなんです。
「志賀内さん」と、名前を呼んでくれるのです。ただの「おはようございます」ではない。会話の中に、何度も何度も「志賀内さん」と出て来る。私も、それに吊られるようにして答えます。
「Nさんも自転車通勤ですよね。汗だくじゃないの?」
と、名前を言うようにしています。ここで、思います。なんて不思議なんだろう。お互いの名前を呼び合うだけで、親しくなったような気がするのです。おそらく、
「そうそう、スタバってそうなのよね」
と、おっしゃる方も多い事でしょう。
名前を知る。名前を呼ぶ。たったそれだけのことで、心の距離が近くなる。なのに私は、それが苦手な人生を送って来ました。ああ、なんて損したんだろう。雑草とスタバから、大切なことを学びました。今さらではありますが・・・。
(追伸)マツバウンランは、私の最も好きな春の雑草です。うちの近所ではバス停前のコンクリートの隙間、幼稚園の柵の下、街路樹の下などに咲いています。お時間のある方は、検索してみて下さいませ。キレイですよ~。