ちょっといい話『こころが伝わる接客~『Aクリニック』の受付女性から学んだこと~』志賀内泰弘

今日は、名古屋市の会社に勤める、弘中隆司さんから届いた「ちょっといい話」を紹介させていただきます。

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つい最近、妻が突然の帯状疱疹に苦しんだときのこと。手足と腰の痛みがでてきて、とにかくじっとしていてもダメ、歩くのもしんどい状況となり、慌ててタクシーを呼び、自宅から1kmほど離れた、痛みの緩和で評判のAクリニックに行きました。

さほど広くない待合室に入ると、30代くらいから70代くらいまで20人ほどの患者が待っていて、満杯状態でした。普段、街中で大勢の人たちとすれ違っているけれど、こんなに“痛み”を抱えている人が大勢いるのか、と思わず考えさせられました。

受付を済ませたあと、たまたま1つ空いた席に妻を座らせ、元気な私は立って待とうと思っていたら、20代半ばくらいの受付の女性の方がおもむろに予備の丸椅子を私のところに持ってきて下さり、「付き添いの方、どうぞこちらにお掛けください」と促してくれました。

親切な方だなぁ、と思っていたら、この受付の方は、その後も高齢者の方が来れば飛び出していって手助けし、下を向いている人がいれば「大丈夫ですか?」と声をかけ、とにかくよく見ていて、そしてこまめに動き回っています。

そして、診察が終わって患者が待合室に戻ってくると、急に慌ただしくカウンターの中で動き出し、ものの30秒ほどで精算手続きをしてくれます。診察後、これほど精算手続きがはやい病院は見たことがありません。「体に何らかの痛みを持った患者さんに、少しでも早く帰ってゆっくりしてもらいたい」ということなのだと思います。

最初の受付から最後の精算まで、全力で患者さんをサポートしてくれる彼女は、まるで病院全体のムードメーカー。本当に痛みを緩和してくれるのは、扉の向こうの先生なのですが、彼女がいるおかげで、患者のこころも癒されているような気がしました。

常に患者のことを想い、こまめに動き回るためには、彼女自身が仕事に追われていては到底できません。そのためにも、自分の仕事をとことん早くこなそうと努力している姿が、傍から見ていて感じられました。しかもそれを、さも当然のように、そして楽しそうに。

おそらく、この病院の院長からは、そこまでやるようには言われていないでしょう。きっと自分の判断で、数多くの患者さんを見てきて、「きっとこうしたら楽に待ってもらえる」、「こういうことをしたら喜んでもらえる」と考え、自然に行動しているだと思います。ご本人に聞いたわけではありませんが、「当たり前のことをしているだけ」と間違いなく言われる気がします。

でも、それって“当たり前”じゃないんですよね。今の世の中、こうした一歩踏み込んだ親切や心遣いは、「手をかけすぎ」、「非効率」、時に「余計なお世話」と言われがちです。そんなことをしていたら、生産性なんて上がらないよ、と。でも、彼女はとても楽しそうに仕事をしています。そして、患者側もどれだけ待たされても誰もイライラしていません(実際、丁寧な診療を行っているせいか、結構待ち時間は長い病院なのに、です)。これってすごいことだと思います。

1人の患者の付き添い家族として、たまたま行った病院で、思いのほか爽やかな気持ちにさせられました。同時に、いつも「時間」と「効率」に追われている自分の仕事に対する向き合い方について、考えさせられたひとときでした。

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