ちょっといい話『ジタバタ・右往左往』志賀内泰弘

「ジタバタする」というと、あまりいいイメージがありません。日本語の意味としては「苦難などから逃れようとして、慌てたり焦ったりしてもがく様」のことを言います。突然、壁にぶち当たると、ジタバタしたり、右往左往してしまうものです。

私も同じ。泰然自若。なにがあっても動ぜず、冷静になって最も良い対処法を考えて行動するのがいいことはわかっています。でも、わかっているのは、頭の中だけのことで落ち着きが無くなり、もだえ苦しんでジタバタとしてしまいます。

実は、誰でも同じなのだと思っていました。でも、最近、どうも違うらしいことがわかってきました。ときどき、学生の相談を受けます。就職、人生、恋愛、家庭問題など。辛く苦しい壁の前で、悩むところまでは同じ。

ところが、何も行動を起こさない人が多いのです。
「どうしたらいいのかわかりません」
「もうこれ以上できない」
「もうあきらめました」
そう言い、ただ茫然としているのです。

なんともあきらめが早すぎる。まだまだ、チャレンジする術はいろいろあるはず。あまりにも、あっさりとしていて驚いてしまうのです。そこで思うのです。
「もっとジタバタしてみたら」
と。

私が参加していた勉強会の友人の話です。10名くらいの社員を抱える中小企業の経営者でした。不況のあおりを受けて、売上が激減。倒産寸前にまで追い込まれました。

それから数年後、元の売上を回復しした時、どうやって危機を乗り越えたかを聞かせてくれました。

「社員の半数をリストラしたんだ。申し訳ないけど非正規に切り替えて歩合制で働いてもらった。家庭を持っている社員は、アルバイトをして凌いだと聞いている。社員にだけ苦しい思いをさせるわけにはいかないし、自分も妻や子供を食べさせなければならない。
社長の報酬をゼロにして、夜間に警備員の仕事をしたんだよ。肉体労働をしたこともあるよ。もう生きて行くために、プライドとかしんどいとか言い訳は言ってられないからね。さすがに、何度か睡眠不足が祟って疲労で倒れたけど、こうして会社は再建できた。必死で生きて来たおかげかな」

友人は、警備員や工事作業員の仕事をしながら、新商品の開発のアイデアを考えていたそうです。だから、けっしてその体験は無駄にはならなかったとも言います。

そう言えば・・・。わたしも何度もジタバタしたことがあります。10年前、妻ががんになりました。なんとか治せないか。主治医からは、「治せません。あくまで延命です」などと、絶望の淵に落とされるうようなことを言われました。気が狂いそうになった私は、友人らに電話をかけまくりました。
「いい薬はないか」
「いいお医者さんを知らないか」
たくさんの「怪しい薬」や「怪しい治療法」が耳に入って来ました。そんな中、友人の友人が、中国鍼と漢方の専門医を紹介してくれました。ダメ元と承知して治療を受けたら・・・あら不思議。奇跡的に回復してしまったのです。

今から思うと、精神的におかしくなった中での、ジタバタが功を奏したとしか言いようがありません。私のジタバタぶりが、「これは助けてやにないといかんぞ」と、友人らの心を動かしたようなのです。

ユダヤにこんな寓話があるそうです。牛乳の入った桶に、一匹のカエルが落ちました。桶の壁は高くて、ピョーンと飛び上がろうとしても、とても届きません。
壁はつるつるしていて、登ることもできない。カエルは、ジタバタして、丸い桶の中を、
「どうしよう、どうしよう」
と、グルグル泳ぎ続けました。一日、二日、三日・・・と泳ぎ続けた時のことでした。
「あれ? なんか足にグチャグチャしたものが当たるぞ?」
なぜかだんだんと、泳ぎにくくなってしまいました。そのうち、そのグチャグチャした物は、ドロッとなり、やがて固まりました。そうです。カエルが足で掻きつづけたため。バターができたのでした。カエルは、そのバターを踏み台にして、ピョーンと外の世界に戻ることができました。

ジタバタのおかげで、問題が解決できたわけです。そう考えると、ジダバタも悪くはないものですよね。言葉を置き換えたらいいのです。
「七転八倒・無我夢中」
要するに真理は同じことです。
それは・・・けっして、あきらめない心。コロナ禍の中、おそらく影響を受けていない人は、ほとんどいないと言ってもいいでしょう。明けない夜はない。そう信じて、「七転八倒・無我夢中」で生きていきたいものです。

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