ちょっといい話『失意泰然』志賀内泰弘

コロナ禍はまだ続いていますが、最善の注意をはらいつつ、経済活動が戻って来ています。しかし、依然と飲食、旅行、運輸などに携わる方々の苦労は、計り知れないものがあります。

経営者の友人・知人が多いこともあり、ほぼ毎日、誰かと電話で話をしています。ときには、「久しぶりに会おう」と、お茶をします。中には、
「このままだと倒産する」
「暇。お手上げ」
と、どう声を掛けたらいいかわからない人も。

6月頃のこと。売上が単月前年対比80%ダウンだというにもかかわらず、元気な(フリをしている?)友人がいました。A君です。笑顔で言います。
「なんとかなる」
「なんとかする」
というのです。さらに、
「新規事業の特別チームを編成した」
と。
 
少し、旧聞になりますが、テレビ東京「カンブリア宮殿」700回記念(2020.9.10オンエア)に、エイチ・アイ・エスの沢田秀雄会長兼社長が出演されていました。説明は不要。旅行業界の革命児です。しかし、このコロナ禍で、売上99%ダウン。三分の一の店舗が閉鎖へ追い込まれました。

司会の村上龍さんが尋ねます。
「不安はないですか」
すると、
「あんま不安はないですね。かえって元気になってくる」
「どうしてですか?性格ですか」

テレビの画面には、ニコニコと笑う沢田会長が映っています。強がり? でも、とても演技とは思えない笑顔です。そして、こう答えられました。
「それも、ありますね。『失意泰然』という言葉があって、元気にやろうと。そのほうが早く立ち直れる」
というのです。これには、村上龍さんも唖然とした表情でした。

友人A君の話に戻ります。それから半年が経ちました。
「売上は80%まで回復したよ」
と、いつもの笑顔で言います。もちろん、街に人が戻ってきたこともあるでしょう。新事業を立ち上げても、そんなに早く成果がでるはずもありません。でも、沢田会長の言葉を思い出しました。
「失意泰然」です。

非常事態宣言が出て、みんなが引き籠っていた時、
「なんとかなる」
「なんとかする」
と明るく笑っていたA君。だからこそ、何百人もの社員が付いて来たに違いないと。

何人かの経営者の友人・知人で、明らかに心が冒されてしまった人がいます。どう励ましていいのかわかりません。可哀そうですが、どうしようもない。こちらは経営者でもないし、経営のプロでもありません。どんな言葉を掛けても、役に立たないことがわかります。

そこで、最近は、落ち込んでいる友人・知人に会うと、
「カンブリア宮殿見た? 沢田会長が、こんなこと言ってたよ」
と伝えるようにしています。

「失意泰然」

もちろん、言うは易し、行うは難しです。でも、人生の苦難は、その人自身が試されている時とも言います。辛い時に、どう自分と向き合うか。どう人と付き合うか。それによって、1年後、10年後が変わります。泰然として、無理矢理にでも笑って前に進むしかない。

再び、みんなが笑って暮らせる日々が、早く戻ることを祈ってやみません。

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