ちょっといい話『シンパシーとエンパシーの違い』志賀内泰弘

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」(新潮社)が、大ベストセラー。本屋大賞2019ノンフィクション部門大賞を受賞。日本テレビ系「世界一受けたい授業」に著者のブレディみかこさんが出演し、ますます話題になっています。

ブレディみかこさんは、アイルランド人の夫と息子さんの三人でイギリスのブライトン在住。イギリスの公立中学に通う息子さんと、母親のブレディさんの会話を通して「多様性って何?」「差別とは?」など、なかなか説明しにくい問題を、赤裸々に、かつわかりやすく、まるでホームドラマのように綴ってあります。

さて、本書の中で、「sympathy(シンパシー)」と「empathy(エンパシー)」の違いについて説明されていました。みなさん、パッと答えられますでしょうか? もちろん、私はさっぱり。シンパシーが「同情」というくらいしか答えられません。

オックスフォード英英辞典では、
「シンパシー」は、
「1 誰かをかわいそうだと思う感情、誰かの問題を理解して気にかけていることを示すこと」
「2 ある考え、理念、組織などへの支持や同意を示す行為」。
それに対して、
「エンパシー」は、
「他人の感情や経験などを理解する能力」と書かれているそうです。

著者は、これをわかりやすく、こう説明します。
「シンパシー」は、かわいそうな人、問題を抱えた人、自分と似たような意見を持っている人々に対して抱く感情のことだから、「自分で努力しなくても、自然に湧き出て来るものである。でも、「エンパシー」は違うと言います。「エンパシー」は、自分と違う理念や信念を持つ人や、別にかわいそうだとは思えない立場の人たちが、「何を考えているだろうと想像する力」のことだと言うのです。

いかがでしょうか?
なんとなく、おわかりになりますでしょうか?

息子さんが通う公立中学の授業では、シティズンズ・シップ(市民教育)という正規の授業があるそうです。その授業である日、こんな試験が出されました。
「エンパシーとは何か?」
それを息子さんから聞いた父親は、
「俺はわかんねぇぞ、めっちゃディープっていうか、難しくねぇ?で、お前なんて答を書いたんだ?」
と尋ねます。

すると・・・息子さんは一言。
「自分で誰かの靴を履いてみることって書いた」

私は衝撃を覚えました。
なんとわかりやすいことか!

そうです。相手のことを進んで理解しようとする。そのために、相手の立場に立つことが必要になる。それは、単なる「想像」だけではわからない。だから、相手の靴を履いてみる。すると、あれこれ理屈じゃなくて「わかる」のですね。

例えば、目の不自由な人を見かけたら、「ああ、かわいそうだなぁ」とは誰もが思うことでしょう。でも、そこで、一度目をつむって歩いてみる。歩かなくて、夜、10分でいいから電気をすべて消してみる。そうすることで、目の不自由な人の気持ちが、「ほんの少し」でもわかる・・・かもしれない。

「シンパシー」を抱いたら、もう一歩踏み込んで「エンパシー」の行動をしてみる。すると、誰もの心の中に、元々宿っている「シンパーシー」がエネルギーになって、「親切」な行動ができるのではないでしょうか。

ちなみに、「自分で誰かの靴を履いてみる」は、英語の定型表現とのことで、調べてみると、
Put yourself in his/her shoes.
だそうで、「相手の立場になって考えてみなさい」という意訳になるそうです。

日本語で置き換えたら「思いやり」かな。「自分で誰かの靴を履いてみる」ステキな言葉です。

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