ちょっといい話『してやるボランティア、させてもらうボランティア』志賀内泰弘

白い杖をついた人に声掛けします。でも、9割は辞退されます。
「大丈夫ですか?」
「どちらまで行かれますか?」
「お手伝いしましょうか?」
遠慮されているのか、それとも不審者と思われているのか・・・。実際、目の不自由な人に親切なフリをして財布を盗む心無い人がいるうです。
 
それでも、懲りずに声をかけます。数を重ねるうち、「ああ、断られるのは、こちらの話し方に問題があったのだ」と気付きます。
「お手伝いさせていただきましょうか?」
「よろしければ、お手伝いできますよ」
言い方を変えると、不思議に、
「お願いします」
と頼まれる確率が上がります。

そんなある日のことです。「心の師」である社会福祉法人「陶技学園」理事長・村瀬登志夫さんの新聞コラムを読んで確信しました。それは、こんなお話です。

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1999年、私が中学校の校長をしていたときに、俳優の故・牟田悌三(むたていぞう)さんの講演会で「させてもらうボランティア」に出会いました。もちろん、それまでにも言葉として『ボランティア』を理解していたつもりでしたが、それは「してやるボランティア」だったように思います。

最近はさまざまな機会に多くの方がボランティアに参加します。学校でも福祉や環境などのボランティア活動が盛んに行われるようになっています。しかし、その中には少なからず、「してやるボランティア」があるような気がします。

「してやるボランティア」は時に受け手とトラブルを起こすことがあります。それは「してやる」という意識であり、相手の状況やニーズに配慮した活動とならないからです。

一方「させてもらうボランティア」は、相手の状況を十分に考えるところから始まります。ボランティアによって自分自身がたくさんの何かを得られるのだと謙虚な態度で活動します。結果、ボランティアをする人も、受け入れる人も双方が満足できるものになるのです。

俳優として活躍されていた牟田さんは、中学校のPTA会長として、肢体不自由児と健常の中学生との交流イベントを10年間も企画・実践されました。その活動を通じて、
「ボランティアは自分を犠牲にすることではない。自分がボランティアをすることによって普通の生活では手に入れることができない何かを得るのだ。だからボランティアは自己開発だ」
という考えに至ったそうです。

ボランティアをして、お礼を言う、これが「させてもらうボランティア」です。

(2019年11月9日付岐阜新聞「素描」より)

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まさしく、まさしく。これなんですね。
「人のために」
「役に立ちたい」
「喜んでもらいたい」
という気持ちがあっても、同時に、
「してあげる」
という「上から目線」の「奢り」の気持ちがあると、相手には受け入れてもらえません。情けは人のためならず。ボランティアは、自分の心を変えるところから始まります。

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