ちょっといい話『沖縄の温かな心』志賀内泰弘

きっと、覚えていらっしゃると思います。テレビ、新聞でも全国ニュースで取り上げられました。
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/418081
那覇市の高校2年の男子生徒が、与那国島の伯父さんの葬儀に参列するため空港へ向かう途中、モノレールで財布を落としたことに気付きました。途方に暮れていると、一人のおじさんが声を掛けてくれました。
「どうしたの?」
事情を話すと、「いくら?」と聞かれたので「6万円」と答えました。すると、その男性は、6万円をサッと手渡して去って行きました。すぐに発車ベルが鳴ったので、連絡先を尋ねる余裕がなかったそうです。

借りたお金を返したいが、返せない。葬儀から戻り、父親や先生にこのことを相談。沖縄タイムスに連絡し、顔写真付で「人探し」の記事を掲載してもらいました。

すると、間もなく、その男性から連絡がありました。その男性は、埼玉県の医師でした。母親が沖縄出身のため、よく沖縄を訪れるそうです。男性は、埼玉に戻ったあと、職場の同僚にその出来事を話していました。たまたま、その経緯を聞いていた同僚の一人が「ネットで話題になっているのは、お前のことじゃないか」と言われ、先方の高校生が自分を探していることを知ったのでした。

二人は新聞社のはからいで再会し、高校生はお金を返し、さらにお礼の品を渡しました。後日談。落とした財布も拾ってくれた人がいて、警察に届けられたそうです。

さてさて、先日、沖縄を尋ねた際、友人たちと食事をしている時にこの話題をしました。
「いい話だねぇ」
と盛り上がると思ったのです。すると、あにはからんや。一人の友人が言いました。
「一つ、不満がある」
「え?」
「記事の中で、こんなことが書いてあったんだよ。6万円貸してあげた男性が、職場の同僚に話したら、『だまされたんだよ』と言われたというじゃないか」
すると、別の友人が。
「そうそう、沖縄の人はそんなサギみたいなことしない」
たしかに・・・。志賀内も短い期間ですが、沖縄で暮らしていたことがあり、どんなに人に優しい人が多いか知っています。すると、また別の友人が言います。
「僕も財布を落としたという人がいて、お金を貸したことがあるよ」
と言います。すると、別の友人も「僕も、僕も」と言う。
「え!?みんな?」
そうなのです。沖縄では、そんなことは「ふつう」なのです。困っている人がいたら助ける。それが当たり前。

一人の友人が、こんな話をしてくれました。
「45年くらい前、大学に行くため上京しいてた時のことだよ。上野駅で、年配の男性ら声を掛けられ。財布を無くしてしまい、故郷に帰ることができないというんだ。もちろん貸してあげたよ。後で返してくれるというので、住所と名前のメモを渡して別れた。でも・・・まだ連絡はないなぁ~ハハハハッ」
友人は、「だまされた」などと、思ってはいないのです。なぜなら、返してもらおうと思っていないから。困っている人を助けるのは、当たり前だと思っているから。

本当は、日本と言う国は、見ず知らずの人でも信じられる「そういう」国だったはずです。でも、残念ながら、いつのまにか人を信じられない国になってしまった。振り込め詐欺が横行。子どもを危険にさらす犯罪の多発。もっとも、だからこそ、このニュースが話題になり、人の心に「温かな気持ち」を甦らせることができたのでしょう。

沖縄では、沖縄の人のことを「ウチナンチュ」、本土の人のことを「ヤマトンチュ」と呼びます。温かな話のはずなのに、ヤマトンチュとして、なんだか少し悲しくもせつないニュースでした。そして、沖縄が大好きで、ウチナンチュの友人が大勢いる志賀内としては、とても誇らしく思いました。

みんなが信じ合える世の中になることを願ってやみません。

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