ちょっといい話『中学1年生が届いた感想文』志賀内泰弘

群馬県の佐野中学校の新井国男先生が、自腹で拙著「京都祇園もも吉庵のあまから帖」(PHP)を購入して、17名の生徒さんにプレゼントしてくださいました。とはいっても、押し付けて「読みなさい」と言われても、人は本を読むものではありません。希望者を募り、大勢の場合には、抽選でプレゼントという形にしてくださいました。

「京都祇園もも吉庵のあまから帖」(PHP文芸文庫)
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文芸小説とはいえ、かなり軽いタッチで書きましたが、それでもテーマはかなり真面目で思慮深い内容です。人生において、苦労や悩みの数々を積んだ人でないと、なかなか理解できない部分もあります。

さて、中学生が最後まで読んでくれるだろうか? 少々、心配ではありました。

それから半月ほど後のことです。新井先生から便りが届きました。開封すると、当選して本を手に入れ、読んでくれた生徒さんの感想文が同封されていました。それは、先生が「書きなさい」と言ったのではなく、自発的に書いて持ってきたものだそうです。全文をここに紹介させていただきます。

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「京都祇園もも吉庵のあまから帖」を読んで

佐野中学校1年 藤本さん

こんにちは、志賀内先生。僕は中学一年で、学年主任の新井先生が毎日発行してくださる「凛」でこの本をプレゼントと書いてあったので応募しました。そしてたくさんの応募の中抽選で当たり手に入れることができました。

僕はもともと短編集が好きで、星新一や芥川龍之介をよく読んでいます。この本も短編集で読みやすく、毎日朝読書で集中して読めました。この本はとにかく心がポーッと暖かくなれる作品でした。この本のキャラクターはみんな辛い過去があるのですが、そこからこの本のキャラクター達は人生で大切な事を学び、他の人達に伝えます。僕はキャラクター達のセリフ一言一言がとても心に響きました。特に心に残った言葉が二つあります。

一つ目は「気張る」です。周りを気遣って張り切るこの言葉は特別に心に響きました。
何故かというとこの言葉を知った時ちょうど合唱コンクールだったからです。僕は指揮者で他の人よりも声を出そう、と頑張っていました。でも、中にはあまり真剣にやってくれない人がいて困っていました。でもこの言葉を知って今はただ独りで頑張っているだけなんだと思いました。なので一人一人に練習しようと言って朝の時間も声をもっと出そうと呼びかけました。そうしたら自然とみんな少しずつ声が出てきてふざけていた子もみんな真剣に歌うようになって気張るという事なんだなと感じることができました。

2つ目は無轍が言った「人生というのはどんなに気張って生きていても、自分の責任でもなんでもないのに、どうしようもなく辛いことがあるんや」です。
まだ僕はそんな辛い経験をしていません。でもいつかどうしようもなく辛い事があった時この言葉を思い出して恭子、もも吉のように気張って乗り越えていきたいと思います。僕はこの本にめぐり会えて、とても素敵な言葉を知り、これからの人生を生きるために必要な事を学ぶことができました。

志賀内先生これからも僕達に色々に素晴らしい言葉を教えてください。先生の次の作品を楽しみにしています。この本を書いてくれてありがとうございました。

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物語の中で、主人公のもも吉が、こんなセリフを口にします。

「『頑張る』と『気張る』、似てるけど違うんや。わかりはるか?」

「もも吉」は、興に乗ったらしく、続きを語り出す。「『頑張る』いうんはなぁ、『我を張る』こと。つまり自分一人の頑張り、独りよがりのことやなぁ。それに対して、『気張る』いうんは『周りを気遣って張り切る』ことや。仕事は一人ではできへん。周りの人たちを巻き込んで、助けたり助けおうたりして、いろいろな考えを一つにまとめて自分の力を発揮することや」

藤本君は、この「気張る」という言葉を、早速、実践して合唱の練習に成果を上げたといいます。まったく頭が下がります。すばらしい! 私も、「気張る」を心掛けて、生きていきます。

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