『ゴミ当番から学んだこと』|ちょっといい話 志賀内泰弘

私の住む町では、週に一度、町内で資源ゴミの回収を行っています。回収するのは、ガラス瓶、紙製包装容器、アルミ缶、スチール缶、ペットボトルです。

そのゴミを、町内の指定の2か所に持って行くと、午前九時頃になると契約したリサイクル業者さんがトラックで回収してくれます。

以前は、その立ち合いを町内会の保健委員さんがやっていてくれました。しかし、ある時、町内会役員会でこんな提案がなされました。

「あまりにもみんなのモラルがなさすぎる。どれほど保健委員さんが、朝早くから苦労しておられるか、町内の他の人たちは知っているのだろうか。これからは持ち回りで当番をしよう」

以降、町内の人が交代で、資源ゴミの回収日に立ち会うことになりました。そして、我が家にも第一回目の当番日が回ってきました。

驚きました。ゴミの仕分けが、実にきちんとできないのです。

回収の対象になっていない、不燃ゴミや可燃ゴミを置いていく人がいます。ペットボトルやガラス瓶のキャップを付けたままで出す人や、アルミ缶とスチール缶をごちゃまぜにして出す人もいます。

ガラス瓶を入れるカゴの中に、ペットボトルやプラスチック包装容器を放り込んでいく人もいます。
そのゴミを一つひとつ仕分けし直すのが仕事。

その日は、たまたま雨が降っていて、傘を差しながらの作業は至難を究めました。

私は、反省も込めてしみじみと思ったのです。

「あ~こんなたいへんな仕事を、ずっと長い間、保健委員さんはやっていてくれたんだ」

と。本当に頭が下がりました。当番が2度、3度と巡ってくるうち、心の中に変化が生じました。知らぬ間に、ものの見方が変わってきたのです。

公園や駅のトイレを利用する時、
「ああ、キレイなトイレだなぁ」
「誰かが掃除していてくれるんだな」
と、心から感謝するようになったのです。

さらにもう一つ、心に変化が起きました。
それは、
人に文句を言わないように努めるようになったことです。さらに、人の悪行を黙ってフォローするようにもなりました。

例えば、スチールの蓋がついたままのガラス瓶がある場合、最初の頃は、
「いったい、どこのどいつだ!面倒だな~ちゃんと仕分けして出せよ」
とブツブツと独り言を呟いていました。しかし、回を重ねるうち、そんなことを考えても仕方がないことに気付きます。

仮に、その犯人(?)を見つけたとしても、注意したことがきっかけで人間関係が悪くなる可能性もあります。なにせご町内ですから、いざこざは避けたいというのが本音です。

実は、うちの町内には、誰もが知る「困ったちゃん」がいます。町内会長さんが、何度も「きちんとゴミ出しして下さい」とお願いしても無視して、まったく分別せずにゴミを出すのです。

それだけならまだしも、暖簾に腕押しどころか、一言言うと、100倍になって返ってくることで有名なのです。

そのお宅が出したゴミであろうと思っても、

「まあ文句言っても仕方がないや。世の中にはいろんな人がいる。できない人のフォローをしてあげればいいのだ」

と、思えるようになったのです。

これは人生の「修行」だと考えたら、
「修行」の場を与えてもらえて有難い。

・・・いや、まだまだ達観はできませんから、
「有難いと思おう」と努力しています。

たかがゴミ当番、されどゴミ当番。ゴミから学ぶことの多い事、多い事。

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