ちょっといい話『笑声になるのは』志賀内泰弘

「顔晴る」
という言葉を、かなりあちこちで見かけるようになりました。私が最初に見たのは、20年くらい前だったと記憶しています。
「え?!・・・なに、それ?カオハレル?」
と首を傾げました。少ししてから、それが「頑張る」の当て字だということがわかりました。

よく、病人や被災者に「頑張れ」と言わない方がいい、と言われます。本人としては、他人から言われるまでもなく、十分に頑張っている。そのうえ、何をどう頑張れというのか。

その気持ちはよく理解できます。私も、病気で入院したとき、会社の同僚から手紙をもらい、そこに「頑張れ、病気なんかに負けるな!」と書かれていて、なんとも言えないせつなさに襲われたことがあります。

誰が一番最初に考えたのかわかりませんが、
「がんばれ」という言葉を、「顔晴る」という漢字に置き換えて、
空がパッと晴れ渡るような笑顔になってくださいね、と表すようになったのは、なかなかニクイとことだと思います。

さて、タクシーに乗った時のことです。車に乗り込むと、助手席の後ろに貼ってあるお客様へのメッセージに目が留まりました。
「わたしたちは、笑声でお客様をお迎えします」
「笑声」
ドライバーさんは前を向いて運転をします。だから、お客様とは「声」だけで接することが多い。それゆえの、ことなのですね。

その「笑声」が、「えごえ」と読むのであり、「笑顔」をもじった言葉であることは知っていました。いつからか、「顔晴る」のように一般的になってきました。

では、どうしたら、「笑声」になれるのでしょうか。

テレビの情報番組で、東名高速道路の海老名サービスエリアのコンジェルジュさんの活躍ぶりを紹介していました。なんと、このサービスエリアには、一日200本もの電話がかかってくるといいます。

そのほとんどが、問い合わせです。
「フードコートのテーブルに○○を忘れてしまって」
という電話がもっとも多いそうです。

お客様は、忘れ物をして不安になっている。それが、財布や携帯電話だとしたら、よほどです。だから、少しでも心が和らぐように、「笑声」で応対するのだそうです。説明するまでもなく、お客様の顔が見えないからです。「笑声」で、話すことで、相手は「笑顔」の人と話している気持ちになるのですね。

さてさて、ずいぶん前のことです。名古屋に本社を置く、フジタクシーさんを取材に訪れた時のことです。コールセンターを見学させていただいたとき、アッと思いました。一人ひとりの電話機の前に、鏡が置いてあるのです。訊けば、「いつも笑顔で電話に出られるように」するためとのこと。

そうなんです!
「笑声」とは、形だけ「笑っているような声」にすることではないのです。本当の「笑顔」でしゃべることで、「声」も「笑っている」ように聞こえることなんですね。「笑声」をグーグルで検索してみたら、メチャメチャたくさん出てきました。そのうち、広辞苑にも載る日がくるかもしれません。

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