ほろほろ通信『思いやりでいっぱいの学校』志賀内泰弘

稲沢市の加賀くみ子さん(56)には4歳になる男の子のお孫さんがいる。生まれつき耳が不自由だった。でも娘さんには「隠したりせず明るく堂々と育てなさい」と励ましてきた。

2歳から愛知県立一宮聾(ろう)学校へ通い始めた。9月に運動会、11月には学習発表会があり初めて夫婦で出掛けた。お孫さんは発表会で「桃太郎」の劇を一生懸命に演じた。廊下を歩いているとすれ違いざまに、先生がお孫さんに「上手にできたね」「大きな声だったよ」と声を掛けてくれる。高等部や中等部の先生方だった。

この学校では、幼稚部から高等部まで年齢の異なる子どもたちが一緒になって行事に参加する。比較的軽い障害の高等部の生徒が、手話でお孫さんに話し掛けてかわいがってくれる。先生方も自分の担任かどうかにかかわらず、誰にもやさしく声を掛ける。おそらく会話の訓練という意味もあるのだろう。しかし、そのおかげで子どもたちと先生の心が一つになり学校全体が温かな雰囲気になっている。

ほかの保護者の方に言われた。「何年か前まではこういう学校に対する偏見があってか、家族の参加者も少なかったのです。今でこそこんなに大勢いらっしゃいますが」。中には聾学校に通っていることを周りに黙っている人もいるという。

「障害者もその家族も幼いころからさまざまな苦労を抱えて頑張っています。それを応援し支えているこんな素晴らしい学校があることを世の中の人たちに知ってもらいたいのです。思いやりでいっぱいの学校に入学させてもらって幸せです」とおっしゃった。

<中日新聞掲載2009年12月20日>

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