ほろほろ通信『「おはようございます」で元気に』志賀内泰弘

3年前の話。一宮市の平松義康さん(37)は仕事のストレスからうつ病になってしまった。病気と向き合い、治療をしながらホームセンターで働いていた。その時、二つの目標を立てた。一つは独立して店を出すこと。もう一つは、自分と同じ病気の人の相談に乗れるようにと衛生管理者の資格を取ることだった。

その試験の当日。朝、家を出ると通学途中の小学4年生くらいの男の子が、平松さんの顔を見るなりあいさつをしてくれた。

「おはようございます」
こちらも慌てて
「おはようございます」
と返した。

「知らない人には気をつけて」というのが当たり前の昨今だ。それゆえに心がパッと明るくなった。

試験は残念ながら不合格。わずかに点数が足りなかった。勤め先の店長に報告すると「あと一歩だから頑張れ」と声を掛けてくれた。その温かな励ましと、そしてもう一人、あの朝の小学生の元気なあいさつがずっと心に残っていたおかげで、その年の暮れの試験に合格できた。

早速、店長に報告。「最後まであきらめずに挑戦したかいがあったな」と喜んでくれた。言葉には大きな力があることに気付いた。

うつ病も回復し、今年の2月には念願の自転車販売店を開業した。今も、以前のホームセンターに時々手伝いに行く。従業員の中に「ストレスで苦しんでいるのでは」と見て取れる人がいる。

「どうしたの、顔色悪いけど」とさりげなく声をかける。すると悩みを打ち明けてくれることもある。平松さんは「これからも、あいさつや声掛けを大切にしていきたい」とおっしゃった。

<中日新聞掲載2009年10月4日>

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