ほろほろ通信『大みそかの「トイレの神様」』志賀内泰弘

一昨年の4月、岡田豊さん(57)が岡崎市の南中学校校長に赴任すると、前任からこんな申し送りを受けた。大みそかになると、南中学に「トイレの神様」がやってくるというのだ。

25年前、卒業生4人が大みそかにやってきて外庭の掃除やペンキ塗りの補修など奉仕活動を始めた。その後何年かたち、それぞれの事情で一人減り二人減り。しかし、今でもたった一人、大久保芳朗さん(39)という造園業を営むОBだけがやってくるのだという。岡田先生は着任1年目の大みそかに出勤し、掃除に立ち会った。

そして再び、2011年の大みそかも「神様」がやってきた。その大久保さんに「母校の掃除を続けている」理由を直接伺った。

「あまり深い意味はありません。あえて言うなら、きれいになると気持ちがいいからかな。先生方に喜んでもらえるのもうれしい。先生方も転勤で代わって行く。でも『大みそかに大久保っちゅうのが来るらしい』と引き継いでもらえたのも続けられた理由の一つでしょうか」

一人だとできる範囲も限られてくる。そこで、冬休み中も使用される職員室のトイレに限定してそうじをするようになった。

「普段、あまり生徒さんができない窓ガラスや壁、鏡、照明まで隅々きれいにするよう心掛けています。庭師という仕事柄、年末はぎりぎりまで忙しいけれど、時間をつくるようにしています」とのこと。

岡田先生は「大久保さんのような卒業生がいることを誇りに思います。そのお気持ちを南中学の後輩たちに伝えていきます」とおっしゃった。

<中日新聞掲載2012年1月8日>

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