ほろほろ通信『アシナガバチの心配をして』志賀内泰弘

4月下旬、刈谷市の高山千可子さん(47)宅の2階バルコニーに、アシナガバチが巣を作り始めた。ご主人に「大きくなる前に駆除して」と頼むと、「ちょっかいを出さなければ刺されないから大丈夫」と言われた。その言葉に従い、高山さん一家はアシナガバチとの共生を始めた。

自宅の隣がご主人の会社事務所。2階で繋がっており、普段はバルコニーを使って行き来している。しばしば二人のお子さんたちも、事務所のコピー機やパソコンを利用するためにバルコニーを通っていたが、いったん玄関から外へ出て事務所へ回るようになった。

ただ、たいへんなのは千可子さんだった。バルコニーは洗濯物や布団の干場になっている。毎日、ハチを刺激しないようにそっと干しに出る。「いいわね、あなたは危険がないから」とご主人に憤りを感じた日もある。その間にも、巣はどんどん大きくなっていった。

9月のある日のこと。ハチの巣の下に、白いサナギが5、6個落ちていた。ハチの姿もない。何か病気にかかったのか。それとも・・・と心配になった。千可子さんはここで「おや?」と思った。ずっと駆除してほしいと思っていたのに。

共生しているうちに心の中で何かが変わったことに気付いた。ご主人は昔から小さな虫が家の中に入ってきても絶対に殺さず、そっと外へ出してやる。二人のお子さんもそれをまねてきた。

高山さんは言う。「おかげで、子供たちが生き物にやさしくなりました。因果関係はわかりませんが、今年わが家の柿は豊作です。勝手にハチのお礼かもしれないと思っています」

【筆者より読者の皆さんへのお願い】駆除か共生かの選択はケース・バイ・ケースでの判断が必要になります。ご注意ください。

<中日新聞掲載2011年12月25日>

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