ほろほろ通信『アサガオに励まされて』志賀内泰弘

豊田市の田中久美子さん(60)は、3月にご主人を亡くした。悲しみに明け暮れ、まるで抜け殻のような日々を送っていた。

最低限の家事だけをこなし、テレビの前でボーと過ごす。家の前に並べていたプランターの花も、水やりを忘れて枯れてしまった。そんな様子を心配して、近所に住む友人がアサガオの鉢植えをプレゼントしてくれた。一つの鉢にえんじ色とむらさき色の2種類の花がいくつか咲いていた。

実は田中さん。昔はアサガオが好きではなかった。朝咲いても、すぐにしぼんでしまう。何だかかわいそうで寂しい気がしたからだ。ところが、今回は違った。翌朝になると、また二つ、三つの新しい花が咲いている。それを見ると元気が出た。

「頑張ってね」と自分が励まされているような気分になったのだという。その時、ハッとした。「私には支えてくれる人が大勢いる」と。

ある日、少し年上の友人から電話がかかってきた。「雨が降っているね。寂しくないかい、大丈夫?」。その人は、ご主人を交通事故で亡くしていた。だから、よけいに人の心がわかるのかもしれない。

別の友人は田中さんの還暦祝いにと、わざわざ赤飯を炊いて持って来てくれた。「仏壇の花は枯れていない?」と言い、供花を持って来てくれた友人。旬の野菜や果物を届けてくれる人も。

「車いすの人やお年寄りに声をかけるなど、小さなことしかできませんが、私も誰かのために役に立てるように生きて行こうと思います。お父さん、もう心配しないで。これからは私も強くなるから」と田中さんはおっしゃった。

<中日新聞掲載2011年11月27日>

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