ほろほろ通信『心が詰まった腕時計』志賀内泰弘

今年の4月1日。大府市の加古有子さん(46)の中学3年生の娘さんが、中2の時のクラスの仲間で「あいち健康の森」へ遊びに行ったときの話。

帰りにどこかでお茶を飲もうということになり、自転車で移動する途中でハッとした。前の籠に入れておいた腕時計がない。10歳の「二分の一成人式」のお祝いに、父親からプレゼントしてもらった大切なものだった。普段は使わないので、ケースに入れてしまっている。

どこかで落としたらしい。一緒にいた8人くらいの友達が捜してくれた。来た道を健康の森まで戻る。「僕たちに任せて早く帰りなよ」と言ってくれる男の子もいた。気が付くと6時半。辺りは真っ暗になっていた。公園事務所で尋ねたが届いていない。携帯電話を持っている友達が自分の電話番号を伝え、見つかったら連絡してもらうことにした。

加古さんは、その話を帰宅した娘さんから聞いて慌てた。きっと、一緒にいた友達のご家族は帰りが遅いので心配されているに違いない。友達はしかられているかも。全員に電話をして事情を説明しお礼を言った。

するとどの親御さんも
「気にしないでください」
「大切な時計をなくしてがっかりされているでしょう」
「見つかるといね」と言ってくれた。

数日後、公園から連絡があり、名前も告げずに時計を届けてくれた人がいるという。携帯電話を持っていた友達がわざわざもらい受けに行ってくれた。
「お父さんだけじゃなく、友達や拾ってくれた人の心がいっぱい詰まった時計になったね」と親子で話しているという。

<中日新聞掲載2011年07月31日>

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