ほろほろ通信『いくつになっても子どもは子ども』志賀内泰弘

春日井市の加藤みつ江(62)さんは今年の3月、父親を亡くした。妻が亡くなってから急に元気がなくなり、認知症が進み足腰も弱った。やがて食事もできなくなり入院を余儀なくされた。

危篤状態になった時、加藤さんはご主人と共に駆け付けた。思わず手を握り締める。すると、うっすらと目を開けた。その時のことだ。すぐ後ろに立っていたご主人に向かってうなずいたのだ。それも何度も何度も。まるで頭を下げているかのように見えた。

加藤さんの父親は、婿養子を迎えた妹さん家族と暮らしていた。家が近いこともあり加藤さんの家にもよく遊びに来た。でも、加藤さんは働いていたので留守になりがち。そんなときは、自営業で時間に自由が利くご主人が近くの喫茶店に連れて行くなどして相手した。

岐阜や長野まで観光がてら温泉に入りにドライブに出掛ることも。心優しい人柄なので心安かったのだろう。加藤さんが不在だと分かっていても訪ねてくるようになった。95歳だった。そんな年になっても、娘のことが心配だったらしい。言葉にはならなかったが、夫に「みつ江のことを頼む頼む」って頭を下げているかのように思えてならなかったという。

加藤さんは「三人の子どもがいる。いずれも30代で家庭を持っているが県外で暮らしているのでなかなか会うこともできない。長男は夜遅くまで働いているらしく体のことが心配だ。いくつになっても子どもは子ども、父親の気持ちが分かります。親心とはこういうものかと思う日々だとおっしゃった」

<中日新聞掲載 2009年11月15日>

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