ほろほろ通信『六十歳の就職活動』志賀内泰弘

春日井市の寺嶋みち子さん(60)は、昨年の10月に28年間勤めていた会社を定年退職した。いくらかの蓄えもあるが、それだけでは先が不安。働くことで世の中のためになりたいとも思い就職活動を始めた。

ハローワークや就職情報誌で捜した約30社に電話。何社か面接を受けたがすべて不採用。新卒さえ難しい時代、年齢だけで不利になる。ある程度覚悟はしていたが、改めて厳しい現状を思い知らされた。

ある会社では「60過ぎたら明日病気になるかもしれない」と言われた。健康には自信があるだけに悔しかった。「失業保険を受給していた方が収入が多いんじゃないですか」と言う採用担当者もいた。働きたくて面接を受けに来ているのに。第一、失業保険は短期間だけのことだ。心無い言葉に傷ついた。

ある日のこと。内科の診療所が看護助手を募集していることを知った。寺嶋さんは以前経験があったので電話をしてみた。すると「決まりかけている方がいます。でも、念のため履歴をお聞かせください」と言われた。声の感じでは若い女性だったが、その丁寧さがうれしかった。

さらに「院長に相談して後日連絡します。今回はご希望に添えないかもしれませんが、そのときは申し訳ありません」と。数日後、電話があった。

「今回は残念でしたが、もし欠員が出たときにはお願いします。まだ60歳なら働いていただけますね」

落ち込んでいた時だけに勇気をもらったという。寺嶋さんはおっしゃる。「今、就職活動をしているすべての人に光が当たりますように」

<中日新聞掲載2011年5月8日>

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