ほろほろ通信『ボール供養で道に迷って』志賀内泰弘

昨年の12月4日。あま市の山本ゆかりさん(47)は、二十歳になる娘さんと二人で、千種区の医王寺まで出掛けた。この日行われた「ボール供養」に参加するためだ。サッカーや野球などあらゆるボールに感謝をして供養するという珍しい祭事である。

ところが地下鉄茶屋ヶ坂駅で降りて住宅街で道に迷ってしまった。タクシー会社の看板が目についた。表で車を洗っていた人に尋ねた。タクシー会社ゆえに道には詳しいはず。タクシーに乗ってもいいかなと思って。

すると、その人は「寒いから中に入ろう」と事務所に招いてくれた。何人かの人たちが集まってきた。一人が地図を広げて指を差して説明する。なかなかわかりにくい。

「うちの運転手でも迷うことがあるよ」
「歩けないこともないけど寒いから車に乗りなさい」と促されて乗ったのは、乗用車だった。

「ハイヤーなのかな」と思ったが、降りる時に乗車賃のことを言うと「これはメーターのない車だからいらないよ」と言われ驚いた。

実は、「ボール供養」に出掛けたのには目的があった。娘さんはドラゴンズファン。毎年、ルーキーが祈願すると、翌年大活躍することで知られているのだ。時間に間に合ったことで、大ファンの岡田俊哉投手を見ることができた。

帰り道、タクシー会社の皆さんにお礼に温かいコーヒーでも届けようと思ったが、コンビニも自販機も見つからず渡せなかった。「娘も私も思いも寄らぬ親切を受けて感動しました。ありがとうございます」と山本さん。それは、ツバメのマークのタクシーだったいう。

<中日新聞掲載2011年3月20日>

最新情報をチェックしよう!
>プチ紳士・プチ淑女を探せ!運動とは?

プチ紳士・プチ淑女を探せ!運動とは?

ゆっくりでいい。一歩ずつでいい。
自分のできる範囲でいいから、
周りのことを思いやる世の中を作ろう

CTR IMG