ほろほろ通信『落とした500円玉の行方』志賀内泰弘

大府市の太田直子さん(57)が、名古屋駅の名鉄百貨店の「大九州展」に出掛けたときの話。最初に佐世保バーガーを買い、お釣りの500円玉をかばんのポケットに入れた。その後、漬物を買おうとして財布を取り出した時、五百円玉がポロリと落ちてしまった。会場は混雑しており、なかなか見つからない。

近くの干物屋さんの女性に「何か落としたんですか」と声をかけられた。「一緒に捜しましょう」と言われ、冷凍ケースを動かして下を見てくれた。その様子を見ていた真向かいのお店の人も、重い冷凍ケースを持ち上げて捜してくれた。しかし、500円玉は見つからない。あきらめかけていると、干物屋さんに「デパートの催事売り場の人に伝えておくから住所と名前を教えて」と言われ、メモして帰宅した。

その5日後のこと。催事の担当者から電話があった。「物産展が終わり、会場の片付けをしていたら見つかりました」と。「名古屋駅にはよくいらっしゃいますか」と聞かれたが、めったに行く機会がない。すると、送って下さるという。そして翌日、現金書留が届いた。その郵便代の方が高い。開封すると手紙が入っていた。

「本来でしたら太田様のお宅にご持参させていただくところ、ご温情を賜りありがとうございました。勝手ながら現金書留で…」

太田さんは言う。

「デパートとはお金を払って物を買うだけのところと思っていました。私が不注意で失くしたにもかかわらず、損得とか金額の多寡ではない心が通った対応に心が温かくなりました。ありがとうございます」

<中日新聞掲載2010年12月26日>

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